企業主導型保育事業の「新たな実施機関の公募に当たっての方針案について」が公表されました
内閣府のホームページに、企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会(第6回)が発表されています。
そこには、
資料1 実施状況について(平成30年度助成決定数等)
資料2 新たな実施機関の公募にあたっての方針案について
の資料があります。
また、企業主導型保育事業のホームページにも、6月27日付で
今後の企業主導型保育事業の募集等について
の案内がでています。
ご注意
当事務所の記事は予測や個人的見解を含みます。
当事務所の記事に基づいて全てを判断せず、募集要領などは必ずご自身でお読みになり確認してください。
また、採択されなかった場合でも当事務所では一切の責任を負うことはできません。
当事務所の記事に記載されている情報や見解は、予告なしに変更することがあります。
”新たな実施機関の公募に当たっての方針案について”の審査の項目から推測をしてみる
現在、実施機関を公募していますが、その実施機関に対する公募にあたっての方針案が公表されています。
なので、この方針案を読めば、どのような事が審査項目になるのかがある程度推測できます。
保育士割合が引き上げられる
資料には
・保育事業者型の定員 20 名以上の施設は、保育士割合を 75%以上に引上げ。既存施設は3年の経過措置。
と書かれています。
恐らくこれは保育の質の担保の側面からの措置と考えられます。
調査の結果、問題のあった企業主導型保育園の保育士比率が50%だったからかもしれません。
とは言え、企業主導型保育園の84.1%は、保育士比率が100%で運営されています。
保育士比率50%の施設は7.5%しかありませんので、今年度の申請にはほとんどの事業者にとって影響はないと思います。
保育事業者型は5年以上の保育事業の実績が必要
保育事業者型とは、
保育事業実施者(保育所等を運営している事業者)が設置した認可外保育施設を、子ども・子育て拠出金を負担している事業主(厚生年金の適用事業所等)が活用する場合
を言います。
簡単に言えば、保育所運営を業としている事業者という事です。
その保育事業者型の場合、
保育事業者型に5年以上の保育事業の実績を求める。 設置企業からの分社化は新規と扱わない。幼稚園を事業実績に含む。
となっています。
また、外部委託する場合でも、
単独・共同利用型が保育業務を外部委託する場合は委 託先も審査(5年以上の実績、財務適格性)
と記載されおり、経験年数の保育事業者は企業主導型保育事業での新規の設置は認めないとのようです。
これも調査の結果、問題のある企業主導型保育園は、経験実績の乏しい保育事業者が多かったのかもしれません。
整備費の建設単価を平均的なものと比べる
整備費とは簡単に言えば、建設費に当たります。
新築で建てる、内装工事をする、などの費用が整備費になります。
これを
整備費助成に際し 、 平均的な建設単価の実績との乖離を審査。
となりました。
もうこれは、建設単価を異常に請求してもそのまま助成金が支給された助成金詐欺の問題が発生したためですね。
これまでが確認もなく支払われていたことが異常なので、妥当な判断と思います。
財務適格性について税理士・公認会計士の証明添付が求められる
審査のうち、財務適格性について、税理士・公認会計士の証明添付が求められます。
2段階審査(①財務適格性、事業実績等の審査、②施設構造、事業計画等の審査)のうち財務適格性(債務超過でない、直近3年以上連続して損失を非計上、運転資金1か月以上)について、税理士、公認会計士による証明添付を求める。
これまでの審査では、過去の決算書など本当に簡易なものしか提出をしませんでした。
今回からは、財務適格性の判断として、
・債務超過でない事
・直近3年以上連続して黒字
・運転資金1か月以上
となっています。そしてそれに税理士・公認会計士の証明添付が求められます。
これも問題のあった企業主導型保育園は財務体質も悪い事業者が多かったことからと推測されます。
助成金の支給が遅れ、運転資金が底をつき運営に困った事業者が出ていましたので、このような審査になるものと思われます。
中小企業の場合、直近の業績が良くても過去の損失による債務超過が解消されていないパターンも良くある事ですし、3期連続黒字の会社が一概に良い会社とも言えません。
中小企業は浮き沈みや節税などによる利益調整で収益を抑えているパターンもあります。
そもそも運転資金が1か月以上で安全性を担保できるのか?とも思います。
なかなか財務諸表だけでは読み取ることができませんが、今回はとりあえず線引きをしたという事でしょうか。
それとも、税理士・公認会計士のお墨付きを得られれば、上記3つに抵触していても大丈夫と言った措置になるのでしょうか。
このあたりは募集要項待ちですね。
事業者・関係者等直接のヒアリング、自治体への事実確認、現地調査が実施
わざわざ太字で書かれているのですが、
申請書類の内容については、事業者・関係者等に対するヒアリング及び自治体への事実確認を行い、更に現地調査等も行いながら、内容の適正さを確保する。
と記載されています。
これまではペーパー上だけでは分からない部分を、丁寧にすることでしっかり見極めようということと思います。
事業者・関係者だけでなく、”自治体”にも事実確認をするので、申請者はこれまでのように書類を出せば済むという事ではなくなります。
自治体の担当者と緊密に関係性を築いておく必要があるとのことです。
前回の申請も、自治体との連携具合を求められていましたが、さらに突っ込んだものと予想されます。
また、現地調査も行われますので、事業者はしっかりと答えられるように準備する必要があります。
逆に言えば、まじめに取り組んでいる事業者は書類だけの審査ではなくなる(かもしれない)ので、有利になると言えるのではないでしょうか。
まとめ
当事務所でも現在、企業主導型保育園設置に向けて支援先と準備を進めております。
昨年度からの動き、報道等で取り上げられている問題点、様々な情報収集などから想定して動いてきました。
今回の方針についての内容は、特に驚くようなことではありませんでした。当然求められることだろうなぁ、と言った感じです。
他の補助金もそうなのですが、地道にコツコツと準備を進めることが結局のところ一番いいのでは、と最近特に思います。
募集開始までにはまだ時間がありそうな雰囲気ですので、準備を進めて頂ければと思います。
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末信 公平
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