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中小企業は「やらないこと」を決めることが最も大事

2019/03/02
 
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経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。

中小零細企業の経営は「やらないこと」を決めることが必要

世の中は景気拡大中だけど・・・

日経平均は2018/1/23につけた24,124.34円から、現在(2018/2/9)は21,382.62円と20日程度で11%も下落しました。

しかしながら、2017/4/17の18,224.68を底に17%も上昇しています。

内閣府が2018/2/7に発表した景気動向指数 平成29(2017)年12月分(速報)によると120.7と現行方式の調査を始めた1985年1月以来、最も高い水準となりました。

景気拡大は61ヵ月に達しており、戦後2番目の景気回復らしいです。

世の中はまだまだ景気が良いようです。

 

私が金融機関の現場の人に話を聞いたところ「確かに業績の悪い会社は減ったけど、数値的にはピークを越えた気もする」「なんとなく今の業績は実力以上で、いつ悪化するか心配だ」と話をされていました。

 

今現在は業績が良くても、何かのきっかけで一気に悪化するのは中小零細企業にとっては良くある話で、そのための対策を今のうちから準備をすることが重要です。

その一つが事業性評価融資を受けれるように、自社で準備をすることも一つと思います。

金融庁は盛んに事業性評価融資をするように金融機関へ圧力をかけていますが、金融機関側もすぐに対応はできません。

事業性評価はあれこれと書類を記載することになりますが、基本的には内部環境外部環境分析とそこからの戦略になります。

その中でも、ポイントを抑えて最低限、金融機関からのヒアリングに応えておけるようにすることは大事です。

 

SWOT分析を行う上でこれだけは抑えてほしいこと

内部環境外部環境分析は、あらゆる計画書を作成するうえでもほぼ必須となっています。

個人的に好きか嫌いかは置いておいても、少なくとも金融機関側にとっては必要な資料となっています。(なので私が作成する計画書には必ず作成します)

その分析をするのに使うフレームワークがSWOT分析となります。

SWOT分析に関しては下記の記事を参考にしてください

このSWOT分析ですが、作成する場合はこれだけは抑えてほしいことがあります。

それは、

「顧客はだれか」「競合は誰か」

です。

複数の人数でSWOT分析を行ってみると、みなバラバラな意見になります。

なぜならば、皆の頭の中に思い浮かべている顧客や競合が違うからです。なので、同じ会社を見ても、人のよっては強みになったり弱みになったりします。

SWOT分析は、「顧客」の数だけ、「競合」の数だけあると覚えてもらっても構いません。

現在の「顧客」では弱みが多くても、将来の「顧客」に対しては強み(機会)に変わることもあります。

SWOT分析を行う時は、軸を決めてから行うことが重要です。

 

中小零細企業は強みに集中

中小零細企業がとる戦略は、基本的に強みに集中させる一択だと考えています。

限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)をどこに使うか?

これが大事です。

大企業のようにヒトもモノもカネもたくさんあるわけではないです。

限られた経営資源をどこに注力するかが、中小零細企業の経営戦略では重要となります。

 

リスクを分散させるからと、100ある資源を4つにわければ25にしかなりません。

もし同じ100ある資源を持つ競合が資源を2つに分けた場合は50となり、相対的に自社の競争力は低下します。

たとえ資源が60しかなくても、一つに集中させれば上の二つの競合よりも多くの資源を投入することができるので、相対的に自社の競争力はあがります。

また、集中させることのもう一つのメリットは、経験をより多く積めることです。

多くの失敗を繰り返し、その都度改善をかけることができれば、その分提供サービスの質は確実に上がります。

なので、中小零細企業の戦略は集中させることが基本となります。

 

弱みは致命傷にならない程度に改善すればOK

そうは言っても、日本人は弱みの克服に熱心になります。

ひょっとしたら、学生時代に試験を繰り返し受けてくる段階で、苦手な教科の克服が最も得点を伸ばせると指導されてきたからではないかとも思ってしまいます。

学生時代の試験は上限が100点なので、苦手強化の克服も理にかなっているかもしれませんが、経営は上限が100点ではありません。

強みを活かして150点でも200点にでもできます。

弱みは、致命傷にならない程度の改善をおこなえばOKです。

 

みつけた強みは競合に簡単にマネされないモノか?

強みに集中をすると言っても、その中でも集中して良い強みがあります。

それは、

競合に簡単にマネされないモノか?

です。

強みは技術なのか仕組みなのか接客なのかどうかはわかりませんが、お客さんから見て価値のあるもので、それが競合に簡単にマネされないモノかが大事です。

もし、簡単にマネされそうなものである場合、マネされない仕組みを作り上げる必要があります。

また、圧倒的に磨いて追い付かれる時間を稼ぐことも一つです。

 

中小零細企業にとってマネされない強みの一つは、ヒトの質を高めることです。

ヒトの教育や技能の習得は簡単にはマネされません。

もう一つは、顧客との関係性です。

顧客との地道に作り上げた関係性は他社にも簡単にマネができません。

 

技能や仕組みはある日突然差が埋まる

とは言え、ある日突然、競合との差が埋まることがあります。

例えば、高性能機械の出現です。

これまで熟練技能が強みだったから受注を受けてたけど、同じくらいのレベルが機械でできるようになると、当然コストダウンにもなり、顧客を奪われてしまいます。

また、納期の問題も機械の方が早くできるのでかなわなくなってしまいます。

お金を出せば解決できるようなことはある日突然やってきますので注意が必要です。

 

余談ですが、飲食店は開業者も多い代わりに廃業者も多い理由の一つとして、強みが維持しにくいことがあります。

それは、飲食は簡単にマネされやすいからです。

一つの店が流行りだすと、同じような形態のお店が増えていくなということを感じたことがあると思います。

それだけ競争が激しいという事です。

 

中小零細企業にとって最も大事なことは「やらないこと」を決めること

中小零細企業にとって、絞り込むことは勇気のいることです。

ただこの感覚は、実際に経営をしてみないとわからないことでもあります。

つい、あれこれ手を広げたくなる・・・この感覚、自分も経営者になったのでよくわかります。正直、会社員時代は頭ではわかっていたけど、心からわかってはいませんでした。

しかし、いざ経営者となると、あれこれ手を広げるとすべてが中途半端になっていくことに気付きます。

 

強みに経営資源を集中させる

ということは、数ある中から最もいいと思われるものを選ぶという事ですが、選択肢を絞る意味でも、

「やらないこと」を決める

ことをまず行ってください。

5つの選択肢を、思い切ってやらないことを決め、2つまで絞り込めば、選ぶのも楽です。

また5つやるには中途半端だったものが、やらないことを決めたおかげで、時間もお金も多く使えるようになり、より効果が高まる可能性があります。

 

「やらないこと」を決めるには、5年後10年後、会社としてどうあるべきか、自分の経営理念で大事なことは何か、など、根本的なことを考えるところから始まります。

その根本的なことが、経営を行う上での拠り所となります。

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末信 公平

中小企業診断士/認定経営革新等支援機関/ファイナンシャルプランニング技能士2級中小企業庁委託事業ミラサポ専門家登録/神戸商工会議所外部専門家登録/公益財団法人ひょうご産業活性化センター経営専門家登録/公益財団法人兵庫県勤労福祉協会ひょうご仕事と生活センター外部相談員登録/兵庫県中小企業診断士協会・大阪中小企業診断士会会員/ NPO法人ファザーリング・ジャパン関西会員
経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。
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経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。

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