強み弱み機会脅威・SWOT分析 【経営改善計画書作成-6<現状把握-③>】

前回までの現状把握は、財務資料を使っての定量分析でした。
今回からは、定性分析による現状把握になります。
目次
金融機関も大好きなSWOT分析
まず、定性分析の代表的な手法としてSWOT分析があります。
内部環境と外部環境の視点から、自社の強みと弱み、機会と脅威に整理をして分析を行う手法です。
このSWOT分析は、金融機関への提出資料や補助金の申請書類にも利用されます。
下記は、SWOT分析を整理した図表になります。
SWOT分析は軸が大事
一口にSWOT分析と言っても、切り分けやモノの見方によって人それぞれになってしまします。人によっては同じ事象を見ても強みになったり弱みになったりと、個人的には使うのが難しいフレームワークと思います。また、説明をする人によっても異なったりするので、余計に混乱を招く要因でもあります。
しかし、それなりにわかりやすく説明ができることもあり、多くの人に好まれて使用されています。
業績が思わしくない会社の場合、どうしても弱みばかり、もしくは外部環境の脅威ばかりが目にいくかもしれません。
使うコツとしては、「顧客」にとってどうなのか、という軸をしっかり持って考えることが大事です。現在の「顧客」に販売できているのはなぜなのか、を考えると強みが見つかりやすいと思います。なぜなら、弱みばかりな会社からはモノを買ったりサービスを受けたりしようとは思わないはずです。少なくとも、現時点で多少なりとも売れているのであれば、その理由があるはずで、それが強みである可能性は高いです。
また、「顧客」にとってどうなのかとは、想定される「競合」と比べてどうなのか、という視点もあります。選ばれていることは、競合よりも優れていると顧客から思われているからです。
さらには、「商圏」内ではどうなのかという視点も大切です。日本全国と考えると弱い部分ばかりが目に付くかもしれませんが、県内、市内、町内と商圏を絞ってそこで「顧客」からどう思われているのかにより、強みに変わったりします。
大事なことは、軸を決めて分析をすることです。
項目を組み合わせて、戦略や施策の検討に用いるクロスSWOT
SWOT分析は、戦略や施策の検討に用いるクロスSWOTがあります。
内部要因と外部要因を掛け合わせ、どのようにして自社の置かれている課題を解決するのが良いのかを検討します。①機会×強み→積極戦略
自社の強みと事業機会を掛け合わせることで、積極的に収益拡大を狙います。中小企業は限りある経営資源(ヒト・モノ・カネ)をこの部分に集中させ、事業の拡大を図るのがセオリーです。
②機会×弱み→改善戦略
せっかくの機会を逃すのではなく弱みを改善することで、収益拡大を狙います。機会を捉えることによる収益と、弱みを改善することによる時間やコストを考慮し、施策を考えます。いち早く機会を捉えることで、収益拡大の機会を捉えることができますが、外した場合は業績の悪化などリスクも伴います。
③脅威×強み→差別化戦略
自社の強みを活かし、脅威となる部分から回避することで、収益拡大を狙います。あえて脅威となる部分を回避することで、自社の強みが活きる市場に経営資源を集中させることで、事業の拡大を図ります。
④脅威×弱み→回避戦略
脅威と弱みの両方が重なっているので、基本は撤退・縮小など、致命傷を負わないようにする戦略となります。ただし、弱みを放置したままだと、その後致命傷になることが予想される場合には、最低限の弱みの改善を図ります。
まとめ
SWOT分析は一般的な分、人によっては捉え方が異なったりします。
SWOT分析を行う目的は、自社の状況を客観的に知ることと、改善の糸口を見つけることです。
きれいに、きっちりとSWOT分析を行うことが重要ではありません。
また、財務分析と合せて両面から取組むことも大事です。
「事業を立て直すため、何を伸ばしどこに経営資源を集中すべきか」
これを決めるために、現状把握の作業を行っているのです。
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【リスケ(返済猶予)のための経営改善計画書作成】シリーズ
次回 「強み」の見つけ方・SWOT分析 【経営改善計画書作成-7<現状把握-④>】
前回 期間別・固変分解・セグメント別でわかりやすくする 【経営改善計画書作成-5<現状把握-②>】
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末信 公平

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