「強み」の見つけ方・SWOT分析 【経営改善計画書作成-7<現状把握-④>】

前回は、定性的に現状把握をするためにSWOT分析を紹介しました。
なぜ強みや弱みを把握する必要があるのかと言うと、「事業を立て直すため、何を伸ばしどこに経営資源を集中すべきか」、を決めるためです。
特に強みは、経営再建を目指す中小企業にとって一番大事なモノになります。
では今回は、もう少し掘り下げて「強み」の見つけ方のお話をします。
目次
自社の強みの見つけ方
自社の強みは何ですか?
このような聞き方をしてしまうと、頭のなかは「???」となるのではないでしょうか。
多くの経営者は、強み自体を把握されていなかったり、過去の強みを引きずっていたりと、実際にしっかりと把握できていることは少ないです。
また、「強みなんかないよ」と諦められていたり、考えたことも無かったりする方も多くいます。
では、強みのない会社がほとんどなのでしょうか。
そんなことはありません。
全く強みがなければ、これまで事業も営めず存続できなかったはずです。
では、どのようにして自社の強みを見つければ良いのでしょうか?
なぜ顧客は自社にお金を払ってくれているのか
強みを見つけるにはいろいろな角度から考えてみます。
ただし、ベースにある考え方は「なぜ顧客は自社にお金を払ってくれているのか」です。
それを意識した上で、いろいろな角度から考えてみます。
これまでの歴史を振り返る
強みを見つける一つ目の方法は、自社のこれまでの歴史を振り返ることです。
創業からこれまでには、さまざまな困難があったはずです。しかし、その様々な困難を乗り越えて現在まで事業を営んでいることは、何かしらの強みを持っているからこそになります。
自社の歴史を振り返り、その時に提供していた商品やサービスは何だったのか、その時の周りの環境はどうだったのか、お客さんにはどんな声をかけてもらっていたのか、を考えます。
また、それらがこれまでどのように変化をしてきたのか、過去の困難をどのようにして乗り切ってきたのかも振り返ります。
一覧表にしてみて眺めていると、自社の強みが浮かび上がってくるはずです。
創業したきっかけ
事業を営んでいて何十年とたっている企業であれば、歴史を振り返って自社の強みを見つけるヒントになるかもしれません。しかし、まだ業歴が浅い会社の場合には、創業したきっかけを思い出しすこともヒントになります。
わざわざリスクをとって創業をしたということは、そこにチャンスがあるからと考えたからだと思います。創業を決意した時には、何らかの自信をもって臨んだことでしょう。そして、周囲の応援もあったでしょう。なぜ周囲の人は応援をしてくれたのか。それはあなたが優れている点があったからです。
今一度振り返ってみたときに、顧客にとってアピールできる強みが見つかるかもしれません。
顧客の声
過去を振り返ってみてもなかなかこれと言って思い浮かばない場合は、現在の顧客に聞いてみましょう。
一般の個人のお客さんが対象であれば、アンケートやイベントで聞いてみます。企業相手の商売であれば、「なぜ弊社から購入されているのですか」と聞いてみます。
もし、自社内で考えていたことと相違があれば、それが強みのヒントになります。
第三者に聞いてもらう
一人で考えるより、誰かと話をしていると、様々なことに気付くことがあると思います。
まずは身近な人と話をして自社の強みについて考えてることも効果的です。思いがけないヒントをくれるかもしれません。
また、自社と関係のない第三者に聞いてもらうほうがより効果的です。身近な人ですと、考えが似ていたり、業界の常識に縛られていたりします。
第三者の場合ですと、そのような固定概念がない分、素直に御社の強みのヒントになるきっかけを答えてくれるかもしれません。
出てきた強みは簡単にマネされないか
いろいろと自社の強みがでてきたら、今度はそれが本当に自社の強みかを考えます。
複数の「顧客が自社にお金を払ってくれている理由」が出てくると思います。
しかし、それらは現時点での強みとなり、出てきた強みをそのまま活かした戦略をとるのは危険です。
ここでもう一歩踏み込んで、「競合に簡単にマネされないか」を考えます。
もし簡単にマネをされることだと、施策を行ったとたんに競合にマネをされてしまい、強みではなくなってしまいます。
そこで、強みとなる基となること、いわゆる「強みの源泉」は何かを考えます。
具体的に言えば、「質の高いサービスを提供できる従業員と教育の仕組み」だったり、「安く品物を提供できる仕入れ先との関係性や仕組み」などとなります。
強みの裏付けは数字
また、その強みが実際数字に結び付いているのかも重要となります。
数字に結び付いていれば、より強い「強み」と言えます。
数字の裏付けができるように、管理の仕組みを見直し、実際のところはどうなのかの確認をすることが必要です。
ただし、どこにも扱っていない商品や誰にもできない技術と言っても、顧客が価値を見出してくれなければそれは強みになっていません。
簡単にマネされない強みとなることも、数字に結び付かず売上に反映されていないこともあります。
その場合は、どのようにして売り上げに結び付けるのかというマーケティング発想での施策を考える必要があります。
まとめ
自社の強みの見つけ方のベースにある考え方は「なぜ顧客は自社にお金を払ってくれているのか」です。
その考えを基に、歴史を振り返ったりしながら、自社の分析を行います。
また、真の強みは「競合に簡単にマネされない」ことです。
それらの強みは数字的な裏付けがあることも大事です。
真の強みを見出し、経営再建の手掛かりにしていくことが重要です。
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前回 強み弱み機会脅威・SWOT分析 【リスケ(返済猶予)のための経営改善計画書作成-6<現状把握-③>】
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末信 公平

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