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【資金繰り】借入金のリスケ(返済猶予)時に必ず守る4つのルール

【資金繰り】借入金のリスケ(返済猶予)時に必ず守る4つのルール

リスケをお願いすると決めた段階で、必ず守るべきことがあります。

近年はリスケには容易に応じてもらえるようになっているので、周囲から気楽にリスケを進められることもあるでしょう。

ですが、暗黙知ともいえるリスケのルールを知らなければ、うまくいくものもうまくいかなくなります。

 

①返済の延滞は絶対禁止

ひとつめは、返済の延滞をしないこと、です。

借入金の返済を延滞することは絶対に避けてください。

まとまる交渉もまとまらなくなります。

延滞をする前に、必要書類をまとめて相談へ伺います。

 

特に9月と3月の延滞はご法度

金融機関の決算はほとんどが3月です。

そして彼らは、9月の中間決算、3月の本決算の数字で評価を受けます。

プロパー融資の場合、延滞を起こしてしまえば債権者分類が落ち、引当金を多く積む必要となります。

【経営】経営改善計画で意識する3つの数値基準

 

それにもかかわらず、9月と3月を延滞してしまうと、支店の評価が落ちます。

そんなことをしでかして、自身の評価を下げられた会社に協力をしようと思うでしょうか?

普通に考えると無いです。

金融機関の方も人間です。

リスケは交渉事なので、相手方が困ることをわざわざするようなことは避けましょう。

逆を言えば、相手がなるべく困らないようにこちら側から動くことが大事です。

 

月またぎの延滞は避ける

次に、7月とか2月とかに延滞をしてしまうことはどうでしょうか?

9月や3月に比べるとマシかもしれませんが、当然ながら避けましょう。

仮に返済日が10日の場合、延滞をしてしまったが月末までに支払えばなんとかギリギリOKの可能性はあります。

月をまたぐことが無いように、返済日は15日までに設定しているほうが安全です。

月末までの15日間の間に、よそで資金調達できる時間稼げるからです。

 

すでに延滞してしまったら

すでに延滞してしまったら・・・リスケ交渉が苦しくなります。

延滞をするくらいですから、資金繰りは相当厳しいはずです。

その中で粘り強く交渉を重ねることは容易ではありません。

延滞してしまったことを素直に謝罪し、誠意をもって交渉をする。しかないでしょう。

延滞をしてしまうと、延滞を解消しない限りリスケの交渉には応じないと言われます。

なんとか資金を集め、延滞を解消することに全力を尽くして交渉に臨みます。

このことからも、返済の延滞は絶対禁止となるのです。

 

税金、社会保険の延滞も避ける

上記以外にも、税金や社会保険の延滞などがある場合、リスケに応じてもらえないことがあります。

特に税金は、債権としての優先順位が高く、場合によっては従業員の未払い給与などより先に差し押さえられます。

そして、税務署は容赦がありません。

すぐに差し押さえに来ます。

金融機関はそのことをよく理解しているので、税金の滞納がある会社を嫌うのです。

 

どうしても税金や社会保険を滞納する場合は、必ず税務署や社会保険事務所と交渉を行い同意の上実施しましょう。

 

②交渉の順番はメイン銀行から

ふたつめのルールは、メイン銀行から交渉を行うこと、です。

メイン銀行とは、原則借入残高の多い順番となります。

そして、メイン銀行から交渉を行うことが大原則となります。

 

これがサブ銀行から始めると、とんでもない事態を引き起こすかもしれません。

サブ銀行から話をしてメイン銀行へ行くと、メイン銀行は怒り出す可能性があります。

昔ほどではないのでしょうが、企業を支えるのはメイン銀行の仕事という価値観はまだまだあります。

たとえサブ銀行へ行っても、「メイン銀行の意向は?」と聞かれるでしょう。

2番低下のサブ銀行は、メイン銀行の動向を見て判断を下すからです。

そういった意味でも、必ず交渉はメイン銀行から行うことが大原則となります。

 

③一律同条件でお願いをする

みっつめは、条件を金融機関によって変えないこと、です。

融資取引のあるすべての金融機関に対して、条件を平等にして交渉することが必須となります。

基本的にはメイン行の意向にサブ銀行以下は従うことになりますが、リスケは最終的にすべての金融機関の同意をもらうのが原則となります。

そのため、一行でも抜け駆けを許さないのです。

 

一律同条件とは

では、一律同条件とはどういうことでしょうか?

経営改善計画と資金繰りから、返済できる金額が算出されます。

その返済できる金額を、一定のルールで各行へ返済します。

主に使われるルールは、

「残高プロラタ」と呼ばれる、返済総額を金融機関別の債権残高割合で按分し、返済額を決定する方法。

「信用プロラタ」と呼ばれる、返済総額を金期間別の債権残高から担保による保全額を控除した金融機関別の非保全残高割合で按分して、返済額を決定する方法。

です。

 

プロラタとは

プロラタとは按分と言う意味です。

用いられるプロラタは2種類あり

  • 残高プロラタ
  • 信用プロラタ(非保全プロラタ)

です。

 

残高プロラタ

残高プロラタとは、返済総額を金融機関別の債権残高割合で按分して返済額を決定する方法です。

金融機関 債権額 残高プロラタ 返済額
A銀行 350,000 70.0% 70,000
B信用金庫 100,000 20.0% 20,000
C銀行 50,000 10.0% 10,000
合計 500,000 100.0% 100,000

 

信用プロラタ(非保全プロラタ)

信用プロラタ(非保全プロラタ)とは、返済総額を金融機関別の債権残高から担保による保全額を控除した金融機関別の非保全案高割合で按分して返済額を決定する方法です。

金融機関 債権額 保全合計 非保全額 残高プロラタ 返済額
不動産 保証協会
A銀行 350,000 100,000 200,000 300,000 50,000 50.0% 50,000
B信用金庫 100,000 50,000 50,000 100,000 0 0.0% 0
C銀行 50,000 0 50,000 50.0% 50,000
合計 500,000 150,000 250,000 400,000 100,000 100.0% 100,000

 

上記を比べていただけると、保全割合が変わることにより、各銀行への返済額が変わってくることがわかると思います。

残高プロラタではA銀行がメインバンクとして債権額も多く、返済割合も高くなっています。

しかし、信用プロラタで見るとB信用金庫は返済額がゼロとなり一番債権額が少なかったC銀行がA銀行と同額の返済を受けれることになっています。

 

どちらが良いときかれれば、残高プロラタでの返済です。

理由として、上記の場合だとB信用金庫は返済額がゼロになり全行の合意が難しくなる、担保評価方法は各行で考え方が様々、中小企業再生支援協議会は残高プロラタが原則である、からです。

 

④ウソをつかない

よっつめは、噓をつかない、です。

リスケ(返済猶予)交渉時には基本的に4つの資料が必要となります。

その4つは

  • 資金繰り表
  • 直近の合計残高試算表
  • 経営改善計画書
  • 金融機関別融資取引内訳表

です。

あとは、これまでに提出をしていなければ

  • 決算書

が必要となります。

 

粉飾決算をしていらた、正直に伝える

これまで粉飾決算をしていたら、これを機に正直に話しをしましょう。

金融機関側から指摘をされれば素直に認め謝罪をします。(何せウソの報告でお金を借りていたのですから)

ここでウソをついても、さまざまな資料を提出するので、どこかでバレる危険性が高まります。

ウソにウソの資料を作成する羽目になり、労力も膨大となるので、この時点で正直に話す方が良いです。

 

金融機関側も、粉飾決算をうすうす把握していても通常はよほどのことがない限り突っ込んできません。

決算書は5期も並べれば、疑わしい箇所がわかります。

 

当然、ウソがばれると信頼関係を損ねる可能性があります。

何度もお話に出てきていますが、リスケをすること自体がすでに約束を守れていないという状況で、さらにウソを隠していると、ただでさえ失われた信頼関係がますます損なわれます。

正直に話すなら、交渉を始めるときです。

 

計画書を作成するにしても、決算書がベースとなるので辻褄が合わなかったりしてくるので、修正した正しい数字をベースに計画を作成します。

ちなみに、我々外部の専門家が作成するときは「実態バランス」と呼ばれる修正を行い、修正を行ったうえで計画を作成します。

それでなければ計画書の信ぴょう性が低く、金融機関が納得してくれないからです。

 

経営改善計画書も、できないことは書かない

経営改善計画書も、基本的にできもしないことは書かないことをお勧めします。

この辺りはメイン行の意向に沿いながらになります。

支店長や上席の方は、本部に交渉を行います。

そのため、支店長や上席の方と相談をしながら計画書を固めることになります。

 

あまりに厳しい計画書の場合は進捗状況を確認されて、半年後の再リスケ交渉時に不利になります。

そのため、金融機関や支店長によっては固めをはじめから依頼してくる場合もあるでしょう。

一回目の計画書からしっかりとしたものを手堅く作成し、最低でも80%の達成をクリアすることが重要です。

しっかりした金融機関ほど、できもしない計画書に対して厳しく指摘をしてきます。

なるべく証拠を付して、信ぴょう性を高めます。

目先のリスケだけを優先するのではなく、しっかりと事業の立て直しを図る上でも、経営改善計画書の作り込みを行います。

 

交渉窓口の支店長や上席、担当は味方

担当者も、その上司も、そのまた上司の支店長も、稟議書を書いて本店に決済を仰ぐ必要があります。

これまでの報告が「ウソでした」となると、ウソを見抜けなかった担当者や、上司、支店長の責任にもなります。

味方になってもらうべき人を敵に回さない意味でも、ウソはやめるべきです。

 

過去、とんでもなく放漫経営で逃げた経営者がいました。

残された家族と共に金融機関に対してリスケの交渉をしたことがありますが、その時心掛けたのは「誠意を持って対応すること」でした。

すると、逆に励まされたり、無理と思われたことでも何とかうまくいくように協力をしてもらえました。

どこかで嘘をつく、誤魔化すなどをしていたらうまくいかなかっただろうと思います。

 

支店長や担当者にとっても倒産などになると、金融機関によってはマイナス査定がつきます。

変な話ですが、「なんとか業績を上げて切り抜ける」は共通の目標となります。

そのような関係性を築くことが、経営改善には大事と考えます。

 

まとめ

リスケにはお作法というか暗黙のルールがありますが、個人的には誠心誠意対応することが最も大事と考えます。

ですが、馬鹿正直に言ったら逆に痛い目に合うということも見聞きしたことがあるかもしれません。

何を伝えて、何を伝えないかなども場合によってはあるでしょう。

この辺りのさじ加減は、交渉相手次第で考えていくことになります。

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