業績の悪化が止まらないときに行う4つのこと

徹底してバケツの穴を防ぐ
前回の「業績が悪くなりだしたら、すぐに行う3つのこと」で示した①質が低下しないモノやサービスの見直し、②無駄の見直しによる残業の削減、③経営者の聖域をなくす、を実践しても業績の悪化が止まらない場合、次の施策を打ちます。
さらなる経費の削減
今回の経費削減はさらに突っ込んだものにします。
従業員に対しても不都合なことにまで踏み込みますので、「ここを乗り越えれば、これだけのことを約束する」と言った希望を持たせながら実行します。もちろん約束が果たせない場合は、従業員の離反を招きます。
①賞与のカット
第一弾の経費削減でも経営の悪化が止まらない場合、賞与のカットを行います。
当然ながら従業員は不満を持つと思いますが、丁寧に説明を行い、「いつまでに元に戻すから」とあくまで緊急的と言うことを強調して行います。
削減額は役席の高い人ほど多く削減します。
あらかじめ人事制度を納得性の高いものに変更しておけば、業績悪化での賞与カットに対して不満を持つことも軽減されます。
賞与は人事制度とセットで考えて、有事に備えることが重要です。
②役員報酬のカット
従業員の賞与をカットするので、当然ながら経営者の役員報酬もカットします。
ただし、役員報酬は年度内にむやみに減額させることはできません。
減額せざるを得ない状況の場合は役員報酬も減額することができるのですが、規定が細かいので管轄の税務署、もしくは税理士に相談してください。
資金繰りが厳しい場合は、減額の手続きを待つのではなく、支払いをいったん止め未払金として計上します。
③家賃の見直し
事務所や倉庫を借りている場合は、家賃が経費に占める割合も大きくなっていることが多いです。
家賃は固定費(売上の増減に関係なく一定額の経費)なので、経費の削減効果が大きくなります。
まずは今借りている大家と交渉をして、家賃の引き下げをお願いします。
それでも応じてもらえない場合は、面積の縮小をお願いします。同じビルで空いている別の場所に移るか、壁を作ってもらい床面積を減少させます。
最終的にそれでも難しい場合は、別の安いテナントを探して移転します。移転にはそれなりのコスト(移転費・住所変更による手続き、印刷物の訂正)がかかりますが、効果が高いので検討します。
また倉庫の場合は、不良在庫を処分して預ける量を減らしたり、在庫を抱える事業の見直しを行い、倉庫代の削減を図ります。
④細かな経費の削減
こまめに電気を消す、コピーの無駄遣いを減らす、備品を買わない、などやれることを次々と行うと思います。
しかし、労力に対して削減額はわずかとなったりするので、従業員の不満はたまりがちになります。
施策を行う場合は、どれだけの削減効果があるのかを示し、実行を徹底させます。
ボールペン1本買うにも稟議をとる会社もありますが、むしろ効率が落ち、不満がたまるだけになります。なので、総量規制(月にいくらまでなど)をかけて、ある程度は裁量に任せた方が良いと思います。
また、業務の見直しで社内用の書類を減らしたり、データでの共有などでコピーの使用を減らしたりと、個々の意識だけではなく組織として取り組むことも大事です。
引き続き、同時並行で売上に対する施策を行う
前回も話をしましたが、売上に対する施策は効果が出るまで時間がかかったり、お金の支出が先行して売上の回収まで時間がかかる事に注意を払います。
業績が悪化しだすと、どうしても近視眼的な指示に陥りがちです。そうすると、これまで従業員に示してきた方針とズレが生じてきたりして、組織の混乱を招きます。
従業員は経営の状況を1から10まで知っているわけではないので、なかなか理解をしてくれません。経営者の方にとってももどかしいと思います。根気よく従業員と向かい合いながら施策を行い、売上の向上を図ります。
業績悪化が一時的なものなのか、なぜ業績が悪化したのか、その原因を突き止め、場合によってはこれまでのやり方から転換して経営をしていくことも必要となります。
まとめ
この状況までくると、社内の雰囲気も暗くなったり内向きとなったりします。
大事なことは、従業員が希望をもてるように経営を行うことです。
いつまでも不振が続くと、従業員は自分の人生を考え、離反することを考え出します。
組織をまとめ、困難な状況を全員で打破する雰囲気作りも重要となります。
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末信 公平

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