金融機関との交渉を円滑に進める方法
金融機関との交渉。ミーティング。打合せ。折衝。
苦手意識を持っている人がほとんどです。
融資を受けなければ事業の存続にかかわるなど、あたかも生殺与奪権を握られているようなときはなおさらです。
ですが、最低限のポイントを抑えながら進めることができればダメージを抑えられます。
今回は、業績もイマイチで事業継続のために金融機関とのミーティングを想定して話を進めたいと思います。
相手が何を望んでいるかを知る
金融機関との打ち合わせを行う場合、そもそも相手が何を望んでいるのかに対応することが大事です。
受ける事業者側からすれば、
早く終わってほしい。
嵐が過ぎ去るのを待つ。
理解しないし助けてもくれない金融機関の担当に話すだけ無駄。
どうでもいいから早く金を貸してくれ。
などなど・・・
上記の例はやや誇張していますが、内心はこんなところでしょうか。
業績が悪いと、どうしても嫌なところを突いてこられます。
金融機関の担当者と目的を共有する
金融機関の担当者も様々な人がいます。
実際にいやらしい感じや高圧的な態度、横柄な態度の人もいます。
半沢直樹みたいな人はほとんどいません。
とは言っても、ほとんどの人は普通の方です。ご安心ください。
通常の仕事をする相手と同じように、お互い協力して進める必要があります。
協力するには「目的」を共有する必要がありますが、
ここでの目的を「融資を取りつける」「リスケに応じてもらう」など、こちら側の要求に合わせなくてはなりません。
金融機関側のスタンスは何だ?
そのために、金融機関側のスタンスを早くつかまなくてはいけません。
担当者が何のミッションを受けて交渉にのぞんでいるのか?
まずはこの確認からです。
融資をしても良いと思っているのか?
何が何でも返済を迫ってきているのか?
相手側の目的を頭に入れて進める必要があります。
融資の姿勢であるならば、こちら側はどのようにすれば融資を受けれるのかの確認。
返済を迫ってきているのであれば、覆せる方法はないのか?せめて返済を待ってもらえないのか?の確認。(どうしようもなければ時間を稼ぎながら、他からの調達方法を探ります)
ひとまず、相手側のスタンスを考慮してこちら側の作戦を考えます。
融資の姿勢を見せてくれたら応えれることに応える
業績がイマイチの場合、何もなく簡単に貸してくれる可能性は低くなってきます。
何らかの”宿題”が出されるはずです。
計画書を作ってください。
資金繰り表を作ってください。
など、こちら側の努力の範囲内の事でしたら、全力で取り組みましょう。
この部分を担当者任せにしているようでは、今後にいい影響はありません。
担当者は「協力者」として対応しましょう。
こちらの準備がおろそかで担当者が満足に報告できないと、担当者もまたその上の上司や本部から叱責を受けるのでイライラもするでしょう。
お願いごとに対応してくれない人には、前向きに仕事をしようとは思わないですよね。
ちょっと応じたくないことには交渉
ただこれが、
不動産などの追加担保を提供してください
定期預金を担保提供してください
第三者保証をつけてください
と言った、応じたくない内容の場合は交渉です。
他に手段はないのか?
他にできることはないのか?
担保提供や第三者保証は可能な限り回避したい内容です。
本当に方法がそれしかないのかを探ります。
いきなりきつめの要求を持ってきて落としどころを探っているかもしれません。
代替案を出しつつ、例に挙げた要求を回避するに越したことはありません。
プラス材料を準備する
仮に宿題を言い渡されてなくても、プラスとなる材料は積極的に伝えましょう。
口頭だけでなく、何らかの資料があったほうが説得力が高まります。
また、担当者も報告しやすくなります。
例えば、
○○のチラシを作って販路拡大中です。
○○のものを新たに取り扱っていく予定です。
○○の反応は現在これだけありました。
などなど、取り組んでいる途中経過を報告しましょう。
逆に言えば、何らかのアクションを起こしていないと、担当者の目には
これまでのやり方に縛られてるのではないか?
経営を上向かせるやる気が無いのではないか?
など、思われかねません。
試算表などの結果が全てと言われるかもしれませんが、そうそう簡単に結果も出る訳でもありませんので、取り組みの途中経過はアピール材料になります。
マイナス材料をごまかさない
ではマイナス材料があった場合はどうするのか?
この場合は取扱いが慎重になります。
下手になんでもかんでも報告すると逆効果になりかねません。
とは言え、傷口が広がりそうな場合は早めに報告しているほうがベターでしょう。
事態を収拾できるか?悪化させ数字に影響を及ぼさないか?
などを勘案しながら、事実を伝えましょう。
黙っていて、どうしようもなくなった後での報告では、なぜ事前に相談が無かったのかと詰め寄られてこじれます。
マイナス材料の報告をするときには、対策とセットにして報告しましょう。
起きてしまったことはしょうがないので、対策にあたっていることをアピールです。
また、再発の可能性があるようなものであれば、再発防止策も合わせて伝えましょう。
下手にごまかしたり嘘を言って、嘘がバレたほうが傷口は広がります。
まとめ
金融機関の担当者を協力者と思って進めましょう。
相手も人間です。
また、彼等もその上からプレッシャーをかけられています。
平の担当者なら一つ上の上席や支店長。
支店長なら本部。
その上で、できることとできないことをハッキリさせ、関係性を築いていきます。
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末信 公平
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