資金繰り表を作成してストレスから解放される
資金繰り表を作成する一番の目的は「お金の見える化」です。
いくら儲かったかかどうかも大切ですが、経営者にとって一番の心配事は「お金が回るか?」でしょう。
資金繰り表を作成することは余計な心配事を一つ減らすことになります。
資金繰り表を作成して余計な心配事を減らす
多くの経営者の心配事はお金に関する事でしょう。
しかし、心配していながらお金の流れをしっかりつかんでいる社長は驚くほど少ないです。
考えれる理由として、忙しいからお金に関する表を作成する暇がない、と言うのはあるでしょう。どうしても事務作業は後回しになりがちです。
他には、数字に苦手意識がある、って事もあります。
ただ、残念ながらお金の管理ができていない会社ほど業績の良くない会社が多いのも事実です。
なぜなら、どこが悪かったのかなど振返る機会がなくなり、目の前の仕事を忙しくこなすうちに、気が付けばお金が足りないのに気付く。
振返る手間を惜しんだばかりに、状況はより悪くなることは往々にしてあります。
解決する方法はひとつです。
それは、お金の流れを見える化することです。
一番簡単な資金繰り表の作り方
資金繰り表の作成の仕方はこちらの記事にも書いてますが、数字が苦手な人にすればハードルが高く感じてしまうのも事実です。
難しいく感じるのは、いきなり完璧なものを作ろうと思うからです。
まずは自分がわかれば良いので、簡単に作っていきましょう。
通帳を用意して過去の実績を入力する
まずは銀行の通帳を用意しましょう。
通帳のお金の出入りがキャッシュフローそのものです。
現金での支払いもあると思いますが、ここではざっくりでも表を作成するのが目的なので、”現金出金”といった項目でもOKです。
過去1~2年分の通帳を用意して、月ごとにPCのエクセルが使える人はエクセルの表に入力します。パソコンが使えない人は電卓をたたきながら紙に転記します。
通帳を見れば何の支払いかが書かれていますので、明細と金額を記入して表にまとめます。
4月 | 5月 | 6月 | |
入金 | 1,000,000 | 800,000 | 1,200,000 |
出金 | |||
仕入 | 600,000 | 800,000 | 700,000 |
給与 | 300,000 | 300,000 | 300,000 |
家賃 | 100,000 | 100,000 | 100,000 |
こんな感じです。
全て入力したら、入金から出金の合計を差引して、月あたりのお金の収支を出します。
これがいわゆるキャッシュフローというものです。
この差引した収支に、前月の残高を足します。
もし月の収支が100,000円で、前月の残高が500,000万円の場合、今月の残高は600,000円になります。
今月の残高が通帳の残高と一致するか確認をしましょう。
この先半年ほどの予定の資金繰り表を作成する
過去1~2年の資金繰り表ができれば、次にこの先半年ほどの資金繰り表を作成します。
項目を見ていれば、家賃や水道光熱費など、規則性のある出金があると思います。
まずは毎月、毎年同じくらいの金額を支払っているものを入力していきましょう。
次に、売上の入金とそれにかかる仕入れの出金の入力です。
仕事をして、請求書を発行して入金されるまで日数があると思いますが、資金繰り表には”入金される日”に入力しましょう。
もし入金より仕入の支払いの方が先の場合、必ず資金繰りが苦しい月が出てくるはずです。
計画の資金繰り表を見ながら対策を打つ
資金残高がマイナスの月が無いか確認する
予想の資金繰り表を作成する一番の目的は、「お金が足りない月が無いか知る」ことです。
もし資金残高がマイナスの月があった場合は、回収が足りないか支払いが多いかになります。
回収が足りない要因は二つに分けられます。
一つは売上自体が少ない。
二つ目は、回収が遅い。これは支払いに比べて回収が遅いという事です。
このどちらかを改善しなければ資金繰りは改善しません。
同様に、支払いが多い要因は、
一つは、売り上げに見合った支出になっていない。
原価や人件費が前年より上がっていれば、これまでと同じ売り上げでも残るお金は少なくなります。
もう一つは、支払いが早い。回収が遅いのに、先にお金を払う必要になっている場合です。
支出を減らすか、支払いを延ばすことが資金繰り改善の方法となります。
対策を講じる
お金が足りない要因がつかめたら、さっそく対策を講じます。
売上が足りなければ、営業活動をするなりして売上を増やす。
支出を減らせないか検討する。
など、当たり前のことを行います。
お金の見える化ができていない事業者は、この対策を講じるタイミングが遅く、効果が発揮できるまで猶予もないため業績が悪化していきます。
お金の見える化をすれば、客観的な数字がでますので、対策を講じるきっかけになります。
融資を受ける
そうは言っても、売上が上がるまで時間もかかるし、これ以上支払いも減らせない。
このような場合は、運転資金の調達が必要となります。
銀行や信用金庫などの担当者に連絡を入れて融資の申し込みを行うのですが、資金繰り表があれば話はよりスムーズに進みます。
表を見れば担当者も理解しやすいですし、稟議書も書きやすくなります。
早めに手を打てれば、金融機関の担当者もゆとりをもって対応できますし、万が一融資を断られても次の対策を打てます。
まとめ
このように、お金の流れを表で見ることができれば不必要な心配事から解放されます。
「いや、俺は頭の中でできているから関係ないよ」とおっしゃる経営者の方もいるでしょうが、頭の中でできているという事は、常に考えていると言えます。
表としてまとめることは、切り分ける作業なのです。
切り分け、客観視することで、もやもやしていた漠然とした不安から解放され、注力すべきことに取組むことができるというものです。
余計な心配事を減らすことは、経営者として大事なことです。
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末信 公平
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