企業経営は組織作りから
企業経営にはなぜ組織作りが必要なのか
企業経営には大きく分けて、「経営戦略」「人事組織」「営業(マーケティング)」「生産管理(購買)」「財務」の五つに分けられます。
この五つの項目で「経営戦略」と「人事組織」は会社全体に関わります。
「営業(マーケティング)」と「生産管理(購買)」はやや独立した考えになります。
「財務」は事業活動の結果や計画を実行した場合の予測結果など、どちらかと言えば「経営戦略」から考えられた「営業(マーケティング)」と「生産管理(購買)」をおこなった結果と言えます。
この五つのなかで、最も重要なのは「経営戦略」になります。
方向性を決めるのが経営戦略なので、進むべき方向性が間違っていると、他の4つがいくら素晴らしくても結果が伴いません。
では次に重要なものはどれかと言えば、「人事組織」になります。
もちろん、資金繰りに窮している場合は「財務」の立て直しが急務ですので例外はあります。
通常の企業経営においては、「人事組織」の重要性が高くなります。
どんなに素晴らしい経営戦略があっても実行するのは人
なぜ「人事組織」が重要なのかと言えば、事業を営むのは人だからです。
一人で事業をしている人でも、その人の資質が最も重要になります。
二人以上の集まりになると、競争力を保つには人が大事です。よく人は「人財」と言うする企業が多いですが、まさに財産という訳です。
どんなに素晴らしい経営戦略があっても、実行するのは人なので、その人の意識が低かったり、組織としてまとまりを欠いていると100%の成果は望めません。
なので企業経営は人の質と言う部分が重要となるのです。
事業活動は農産物を作るのに似ている
「成果」とは果実が成ると書きます。
農作物を作るには、種をまいて、水をやり、手入れをして、最終的に実を結びます。
事業活動も似ていて、種まきと呼ばれるように見込み客に接触をして、水撒きをおこなうように信頼関係を築き、顧客の困りごとを解決することで、報酬という実を結びます。
狩猟型の事業もあるとは思いますが、基本的には成果がでるまでには時間がかかります。
ただ、農作物を作るうえで大事なことは、作物に合った土づくりが大事たという事です。
その土づくりに当たるのが、事業活動で言えば組織づくりです。
カチコチの栄養のない土壌では、農作物の収穫も少なくなります。同じように、停滞している組織では、どのような戦略や戦術を用いても成果を出すのは容易ではありません。
組織づくりは3年かかる
土づくりにも年月がかかるように、組織づくりにも時間がかかります。
今日明日やったからと言って、来週に成果が出る訳では決してありません。
コツコツと、組織内での信頼関係を築いたり、一人一人の能力を高めたりといった、すぐに目に見えてわかるものではない活動をして、戦略や戦術が有効に機能します。
組織全体のマインドを変えるには3年かかるともいわれます。
中小企業診断士二次試験の順番
ちなみに、中小企業診断士の2次試験は朝から順番に、「組織」「マーケティング」「生産」「財務」のテーマで、紙上演習を行います。
なぜ、この順番で行われるのか?
正解を知るわけでもないですが、始めにお話した通り「組織」づくりが一番で、その後マーケティングや生産活動を行い、最終的に財務に現れる。と勝手に納得しています。
国家試験の出題側も、ひょっとしたら、それだけ組織が重要だと言っているのかもしれません。
5年後10年後を見据えないと衰退する
この組織づくりとは時間がかかるものです。
また、ほったらかしにしていたらあっという間に荒れてしまいます。
これは田畑に似ていると言えるのではないでしょうか?
田畑も手入れをしなければ、雑草が生え放題に荒れていきます。
同じように、組織も手入れをしなければバラバラとなり、沈んだ組織となってしまいます。
すぐに成果がでない組織づくりは、荒れてしまったと気づいてから取り組んでもすぐには治せません。
だからこそ、表面には課題が出てきていなくても、先を見すえて組織を作っていく必要があります。
組織図を作って、年齢を書いてみる。そして5年後10年後を予測する。
大手企業であればしっかりとした人事部があり、戦略的に人員の教育や採用を行います。
しかしながら、中小企業では元々の体力も小さいことから余剰人員を抱えることはなかなか難しいです。
そのような背景もあるのか、人事に力を入れている中小企業と言うのはなかなかありません。どちらかと言えば後回しです。
組織図も無いという企業も多いと思います。
しかし、いちど組織図を作ってみて年齢も一緒に書き込んでみてください。
そして、その年齢に5や10を足してみてください。それが、5年後10年後の姿です。
年齢構成がいびつになっている場合は、早めに組織の見直しをしないと手遅れになりかねません。
すぐに人を採用したからと言って、即戦力になるわけでもありません。中途採用と言えど、文化が違えば慣れるまで時間がかかります。
組織づくりは、先を見すえて取り組むことが重要です。
人出不足による業績悪化
昨今は少子高齢化の影響もあり、人出不足が深刻となっています。
昔のように簡単に人を採用できる状況ではありません。
人出が不足すると、機会損失が発生したり、十分なサービスの提供ができなくなってしまいます。
ひいては、人出不足は業績の悪化を招きます。
今後は、ますます組織力の違いが業績に影響を及ぼすと考えます。
しっかりと組織作りに向き合っている企業はある意味チャンスです。
まとめ
組織づくりは一朝一夕でできるものではありません。
また、成果が目に見えて現れにくいので、優先度を下げがちになります。
ですが、難しい取り組みだからこそ、しっかりとできる企業は他社と比べて競争優位性が保てます。
それが、強みの源泉となります。
5年後10年後を見据えた取組みが大事です。
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末信 公平
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