「お金が足りない!」と焦る前に、資金繰り表で見える化する

中小企業の経営は、少しの悪い出来事で資金繰りが悪化することがあります。
それは経営をしていれば仕方がないこと。
まずは資金繰り表を作成して、可視化することが大事です。
資金繰り表を作成してから、銀行や信用金庫に借入の相談に行きましょう。
「月末お金足りません!貸してください!」
担当者は顔には出さなくても「資料くらい用意してよ、面倒だな」と思われているのが関の山です。
目次
早急に資金繰り表を作成する
事業を営んでいけば、不測の事態に見舞われることがあります。
私が中小企業の会社に勤務時代に経験しただけでも、
・大口得意先の倒産
・大口得意先との取引停止
・協力工場の破綻
・メインバンクの破綻
・・・
このような事態にある日突然巻き込まれることがあります。
様々な対応が必要になってきますが、ここではお金のことに絞って話をいたします。
不測事態が資金繰りを悪化させる理由
得意先関係が倒産などにより、売掛金の回収見込みが立たなくなり、余裕のない会社ではたちどころに資金繰りが悪化します。
また、売上見込みが無くなるわけですので、中長期的にも資金繰りの悪化が避けられません。
仕入先関係が倒産などにより、これまで仕入れたものが入ってこなくなるので、別の仕入れルートを確保しない限り、こちらも売上が減少することになります。
別の仕入れルートを確保できたとしても、与信の関係上、これまでの支払いサイトより早く支払うことになれば資金繰りが悪化します。
高く仕入れることになれば収益が悪化するので、こちらも資金繰りに悪影響を及ぼします。
さらには業績の悪化などが取引先に懸念をされてしまうと、その他の仕入れも販売をしてくれないや現金取引に切り替えられるなど厳しい対応をされることもあります。(
場合によっては、金融機関の態度も厳しいものに変わるかもしれません。
以上のように、不測の事態に見舞われれば業績への悪影響だけでなく、たちどころに資金繰りに窮することに見舞われます。
(これらのことは実際に経験しました)
資金繰り表で、将来のお金の流れを「見える化」する
ここで大事なのは、冷静になり、お金の流れを「見える化」すること、すなわち現状に即した最新の「資金繰り表」を早急に作成することです。
最新の資金繰り表を作成することで、どれくらいの影響があるのかを客観的に把握することができます。
手持ちの現預金だけで乗り切れるのか、そうでないのか。そうでないならどのような手段を取る必要があるのか。
大事なことは、どこに対策の焦点を当てるのかを知ることです。お金の流れを把握し、対策を絞り、対策の順番を決めることです。
取引のある金融機関へ相談する
ここでモノを言うのは日ごろからの金融機関とのお付き合い
もし、手持ち資金でこの困難を乗り切ることができないとわかった場合、資金繰り表を持って取引先の金融機関へ相談することが大事です。
日ごろからしっかりとした付き合いをしている場合、金融機関も支援をしてくれます。(日ごろの付き合いをおろそかにしていると、ちょっと面倒です・・・)
信用金庫など、地域密着の金融機関ほど簡単には見捨てません。(都市銀行・有力地方銀行はドライに対応しがちです)
今後の状況に応じて、ツナギの資金の融資をしてくれることも考えられます。
新規の融資が難しい場合は、リスケジュールに応じてもらい資金繰りを安定させます。
不足事態の対応策として、日ごろから金融機関とのお付き合いはしっかりしましょう。
取引先への支払い遅滞、従業員への給料遅配は最終手段
資金繰りに窮することになると、たいていはやりやすいことから手を付けます。
経費の削減などは当然としても、取引先への支払い猶予のお願いや従業員への給料遅配、減給はあくまでも最終手段です。
困難な状況ほど、得意先ではなく仕入れ先と従業員が大事
仕入れることができるから売ることができる、働いてくれる人がいるから事業活動ができる。
意外とこの視点を見落とす人が多いです。特に仕入先に対しては「買ってやっている」などという態度で付き合っている人ほど、窮地になったとたんに憤慨しています。そもそもの力関係が変わったことを理解できていないからです。
取引先(特に仕入先)、従業員は事業活動の根幹部分ですので、ここに手を付けるのはあくまでも最終手段です。
まとめ
不足事態に陥ったら、早急に資金繰りの作成を行ってください。
自社でどうしようもなくなった場合、資金繰り表を持って金融機関へ相談してください。
早ければ早いほど、打ち手の数が多いです。
また、日ごろから金融機関や仕入先、従業員との関係性を良好に保つことが何よりも大事になります。
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末信 公平

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