借入をして当面の資金繰りをしのいでも問題の先送りは意味がない
お金は借りた後が大事
経営状態が厳しくなると、やがて資金繰りが苦しくなります。
当然ながら、そのまま放置していると、資金(お金)が不足してやがて倒産してしまいます。
ですので、事業を継続させるためには、資金(お金)を回していく必要があります。
借入で資金不足を補う
多くの場合、資金(お金)が不足しだすと借入を行うことによって資金不足を解消します。
はじめのうちは金融機関も快く貸してくれます。
今は借り手がない状態なので、まだこの段階では貸してくれます。
保証協会の枠があれば、なお良いです。
意外と資金は早く底をつく
事業を継続するために、無事にお金を借りることができました。
しかし、多くの経営者はここで一安心してしまい、経営の改善策が甘くなります。
このまま経営の立て直しを先送りするとどうなるのでしょうか?
借入金を増やすことは、利息の負担と返済の分だけ毎月減っていきます。
例えば、経営が悪化したことで毎年100万円の資金が減っている状態とします。
1000万円の借入金を5年返済で調達したら、どれくらい資金が持つのでしょうか?
1000万円÷100万円=10年?・・・ではないですね。
毎年200万円の返済がありますので、この場合3年4か月後には資金がまた底をつきます。
(単純に計算して、(1000÷((100+200)÷12)=40カ月=3年4か月)
3年4か月もある、と言えなくもないですが、3年4か月以内に毎年200万円のお金を生み出さないと返済ができなくなります。
もともと、マイナス100万円だったところから、プラス200万円まで持っていくことは容易なことではありません。
借りた後の対応で、その後に大きな差が生まれる
通常、経営を立て直すには成果が出るまでそれなりの時間がかかります。
また、何らかの先行投資が必要になる場合もあります。
改善策の実行が1か月遅れるたびに、その分成果が出るまでの時期が延びてしまいます。
なので、お金を借りたことに安心をせずに、経営の立て直しを図ります。
通常はお金を借りるときに計画書を提出することになっていると思いますので(金融機関任せでなければ)、速やかに計画の実行に移ります。
早めの対策を行った会社と、特に何もせず景気の回復をひたすら待つ会社では、3年後5年後に大きな差が生まれることになります。
早く始めるのが大事なのは、失敗をたくさんできるから
計画を早く実行に移すことが大事であると言いましたが、それは失敗をたくさんできるからです。
そもそも、計画が100%その通りに行くことはなかなかありません。
計画は計画なので、だいたい想定していないことが出てきたり、思ったより効果が出なかったりが付き物です。
ここで重要なのは、「失敗」を糧として改善に活かせることができるかです。
計画して、実行してみて、おかしなところは修正していく。
ちまたでよく言われる「PDCA」サイクルを回すという事です。
PDCAがなぜ大事なのかと言うのは、より精度を高めて最終的には成功に結び付けやすくなるからです。
計画を立てて終わる、お金を借りたから終わる、のではなく実行をすること、それに対して検証をすることが最も重要なことなのです。
なるべく短いサイクルで、テストと改善を繰り返すことが、結局は経営改善の近道になります。
借入金は、やり過ごすために使うのではなく投資に使う
借入金は、現状をやり過ごして環境が良くなるのを待つために使うものではありません。
現状をよくする施策を行うための軍資金です。
せっかく借りたお金は利益を生み出すことに使い、有効に活用しましょう。
まとめ
借入金は有効に使えばとても便利なものです。
手元に資金が多くあるだけで、ゆとりのある経営ができます。
一次的な環境の変化にも耐えやすい体質にもなります。
しっかりと利益を生み出すことに使えば、すべて自己資金で事業を行うより早く成長が図れます。
しかし、一つ間違えると次々に借入金を重ねて最後には経営が行き詰まってしまいます。
返済に追われだすと、本当に必要な支出も削らざるを得ず、成長が止まるどころか衰退を招きます。
借入金は上手に使い、経営の成長の助けとなるように有効活用しましょう。
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末信 公平
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