リスケ(返済猶予)交渉で金融機関から条件提示されたらどうするか?
金融機関から提示される主な条件
金融機関にリスケ(返済猶予)を申し込むと、条件を提示されることが多いです。
代表的な条件は
- 金利の引き上げ
- 追加担保
- 保証人追加
- 積立の開始
- 給与の振込先口座の指定
などです。
リスケをお願いするからすべての条件を受け入れないと進まないのでしょうか?
そんなことはありません。あくまでも交渉です。自社が有利になるように、粘り強く交渉を重ねます。
どの条件を受け入れるかが大事です。
受入て良い条件と受け入れてはいけない条件
受け入れてはいけない条件
先に受け入れてはいけない条件ですが、
- 追加担保
- 保証人の追加
です。この二つは絶対に受け入れてはいけません。
この条件を受け入れれば交渉は進みやすくなるでしょうが、絶対にいけません。
複数の金融機関とリスケ交渉をする場合は、「1行だけ優遇するわけにはできないので・・・」と断ってください。
その他の条件は交渉具合で
では、主に提示される残りの条件ですが、
- 金利の引き上げ
- 積立の開始
- 給与の振込先口座の指定
となります。
このうち、金利の引き上げと積立の開始は資金繰りを悪化させますので、慎重に対応を考えます。
金利の引き上げ
金利の引き上げは、金融庁のガイドラインにも記載されおり、そのことを言われるかもしれません。
しかしながら、金利を上げられるとせっかくリスケをしたのにもかかわらず、資金繰りの改善効果が低下します。また、金利の引き上げにより営業外費用が増え、利益が減ってしまいます。そのことから、金利の引き上げに応じるのは慎重に交渉を行います。
金融機関は金利を0.125%刻みで考えています。上げ幅を最小に抑えるようにして、現預金の社外流出を最小にとどめます。
交渉は、原則一律同条件ですのでメインの金融機関としっかりと交渉を行い、一行だけ優遇することなく進めます。
積立の開始
リスケをしているから返済額を減らしたいのに、積立を依頼してくることもあります。
要は、担保として預金を自行内に留保させて、いざという時は預金封鎖を行い借入金(金融機関から見れば貸付金)と相殺して被害を最小限にとどめる狙いです。
こちらもリスケによる資金繰りの改善効果が低下してしまいますので、慎重に検討します。
こちらも、原則一律同条件ですのでメインの金融機関としっかりと交渉を行い、一行だけ優遇することなく進めます。
金利の引き上げか積立の開始どちらかを迫られたら
どうしても金利の引き上げか積立の開始どちらかを受け入れなければならない状況になった場合は、現金の流出が少ない方で考えます。
金利の引き上げは、赤字の場合には関係ないですが、黒字化になった場合は節税効果もありますので、その辺りも考慮に入れて計算します。
また、積立は簡単に解約には応じてくれません。金融機関からすれば実質の担保となるから「はいどうぞ」という訳にもいかないのです。
しかし、勤めていたころの体験ですが、リスケ中でいよいよとなった段階でも、事情を説明して納得してもらい、定期預金を引き出して他の支払いに回したこともあります。名義人は企業ですし、担保として差し出しているわけでもないので,預金封鎖されない限り基本的には自由に使えると言えます。
おかれている状況に応じて、どちらが有利かを考えて条件を受け入れます。そのためには、しっかりとした資金繰り表を作成していくことが大事です。
給与の振込口座の指定
リスケの交換条件に出てくることは少ないかもしれませんが、支店や担当者としてはせめてノルマを達成するためにお願いしてくるかもしれません。
とは言え、既に振込口座の指定をしているところから別に移すわけなので、複数の金融機関と交渉するのに面倒なこととも言えます。
原則、やんわりとかわしながら拒否することが望ましいです。
経営改善計画書をしっかりと作成すること
結局のところ、経営改善計画書をしっかりと作成するところからがスタートです。
金融機関の望む計画書を100%の精度で作る必要もないですが、この計画書の信頼性が低いと次々と要望を出されてしまいます。
どうせ計画書を作っても意味がないからとあきらめるのではなく、事業を一から見直す契機ととらえ経営改善計画書を作成することが交渉を有利に進めることにつながります。
まとめ
担保の追加と保証人の追加を断固拒否しながら、金利の引き上げと積立のどちらか応じやすいを受入れ交渉を進めます。
もちろんすべての条件を受け入れずにリスケを進めることに越したことはないですが、リスケは時間との勝負でもありますのでバランスを考え条件を受け入れることも必要となります。
無理難題を押し付けられるのを防ぐ意味でも、経営改善計画書をしっかり作り込むことが重要となります。
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末信 公平
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