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中小企業向け新型コロナウイルス支援策

2020/06/18
 
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経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。

新型コロナウイルスの影響が日に日に大きくなってきており、中小企業をはじめとする事業者への影響が出てきています。

東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡に緊急事態宣言も出され、ここ1か月で環境はさらに悪化しています。

 

私の身近なところでも、始めは中国からの輸入に関連していた事業者から影響が出始め、最近ではイベント関係や飲食業にまで影響が出てきました。

政府からの学校休校要請もあり、さらに多くの事業者への影響が懸念されます。

 

飲食業、イベント関連以外にも、宿泊業、レジャー関係なども大きく影響が出てます。

さらには、製造業も輸出入関係はもちろん、株価の大幅下落などによる先行き不安により見通しがかなり悪くなっているようです。

 

経済産業省も割と早くから融資支援策を打ち出していたのですが、意外なほど知られていなかったので、改めてご案内したいと思います。

※2020.2.29に記事を後悔しましたが、状況が大きく変わり、経済産業省の追加支援策も発表されました。それに伴い、記事の修正追記をして2020.3.13に再度公開しています。
※支援策が追加されてますので、記事を修正追記して2020.4.10に再度公開しています。

 

基本は融資による融資+雇用調整等の制度拡張+これまで以上の支援策

基本的な支援策は、これまでの災害時と同じ融資による支援となります。

主には、各都道府県の保証協会の別枠であるセーフティネット保証と、日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金になります。

さらには今回のコロナウイルス対策として、危機関連保証制度(大規模な経済危機、災害等による信用収縮への対応)が設定されました。

 

信用保証協会のセーフティネット保証とは

信用保証協会のセーフティネット保証(経営安定関連保証)とは、簡単に言えば

通常の一般保証枠(有担保2億円、無担保8千万円)とは別に別枠保証(有担保2億円、無担保8千万円)が設定されるものです。

一般保証限度額 別枠保証限度額
普通保証 2億円以内
無担保保証 8,000万円以内
合計2億8,000万円以内
普通保証 2億円以内※
無担保保証 8,000万円以内
合計2億8,000万円以内

このセーフティネット保証(経営安定関連保証)は1号から8号まであり、今回の新型コロナウイルス支援では、

4号:突発的災害(自然災害等)
5号:業況の悪化している業種

が適用されます。

コロナウイルスの影響で業績が悪化している、しそうな会社は別枠のセーフティネット保証を利用して、一般の金融機関から融資を受けることになります。

 

保証協会の利用で融資が受けやすくなる理由

ではなぜ、保証協会を利用すると融資を受けやすくなるのか?

それは、金融機関がリスクを取らなくて済むからです。

簡単に言えば、金融機関にとって、融資の保険が掛けられる状態。

仮に事業者からの返済が滞っても、保証協会に代位弁済を依頼すればお金が戻ってくる仕組みです。

セーフティネット保証4号は、保証協会が100%保証してくれるので、金融機関にとってはノーリスクで金利収入が入るため、たいへん貸し出しが行いやすくなります。

セーフティネット保証5号は80%保証ですが、別枠として利用できるので、金融機関にとっても一般枠の上限を超えて融資ができるので貸しやすくなります。

結果として、事業者はお金が借りやすくなるという仕組みです。

決して、お金が銀行に返せなくなったからと言って返さなくても良くなるのではなく、金融機関が保証されるという意味です。ご注意ください。

 

危機関連保証

セーフティネット保証とはさらに別枠で、(有担保2億円、無担保8千万円)が設定されるものです。

条件は

原則として、最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれる。

となっています。

 

一般保証、別枠保証、危機関連保証の3つが設定されてましたので、合計で最大8億4,000万円までが保証協会を利用して融資を受けることができます。

一般保証限度額 別枠保証限度額 危機関連保証限度額
普通保証 2億円以内
無担保保証 8,000万円以内
合計2億8,000万円以内
普通保証 2億円以内※
無担保保証 8,000万円以内
合計2億8,000万円以内
普通保証 2億円以内※
無担保保証 8,000万円以内
合計2億8,000万円以内
4号:100%保証
(全都道府県)5号:80%保証
(指定業種)※別枠は共有
100%保証
(全国・全業種)

 

信用保証付き融資における保証料・利子減免

都道府県等による制度融資を活用して、民間金融機関らの借入にも、実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資を行うものです。

すでに信用保証で借りた融資からも借換ができるようです。

保証料ゼロ、金利ゼロで借りられることはかなり魅力的です。

保証料は借入時に一括で返済年数分の保証料を払うことになるので、その支払いが無くなることは大きなメリットです。

 

ですが、保証料を払ってないだけで保証はされていますので、仮に金融機関に返済ができなくなっても債務は保証協会に残ります。

法的手続きを取って清算しない限り、いつまでも返済の義務を負います。

※令和2年度補正予算成立後に詳細が決定されます。

 

新型コロナウイルスの影響で保証協会を利用する時の注意点

では、別枠保証が付いたからと言って、誰でもかれでも上限いっぱいまで無条件で借りることはできるのでしょうか?

残念ながらそうとはなりません。

理由として

  1. セーフティネット保証の条件にあてはまるか
  2. 保証協会の審査がある
  3. 金融機関の個別審査がある
  4. すでに他のセーフティネット保証1号~8号で上限枠いっぱいに借りている
  5. リスケ中(返済猶予)である

があります。

 

1のセーフティネット保証の条件ですが、4号は売り上げが前年同月比20%以上減少していること。5号認定は前年同月比5%以上の減少などで自身の事業が認定業種である。があります。

今回の支援策では4号に関しては全都道府県が指定されますが、5号については中小企業等のHPで発表されている指定業種に当てはまる必要があります。

 

2の保証協会の審査ですが、過去に破産歴があったりなど保証されないケースがあります。

今回のセーフティネット保証の利用が初めての事業者の場合、保証協会の審査をクリアする必要があります。

保証協会の審査は、意外な理由(親と同じ業種で独立して働いているが、親が破産していたため保証されなかったなど)から審査をしてくれなかったというケースもありますので、ご注意ください。

 

3の金融機関の個別審査ですが、初めての金融機関で、いきなり飛込で貸してくださいと言っても、そんなに簡単にはいかないと思います。

中には断られるケースがあるかもしれませんのでご注意ください。

 

4のすでに別枠が一杯の場合は、保証を付けてくれません。

事業者側はよくわからずに、別枠の信用保証で融資を受けている場合もありますので、一度金融機関の担当者に問い合わせをしてください。

 

5のリスケ中(返済猶予)ですが、これはケースバイケースかと思います。基本的にはリスケ中の場合追加融資を受けることは困難です。

可能性はかなり低いと思いますが、都道府県の保証協会によっても見解が異なりますし、状況が状況ですので、金融機関の担当者に一度相談してみてください。

 

新型コロナウイルス関連の保証が認められていないケース

新型コロナに関係する保証が始まって、約1か月ほど経ちました。

金融機関等のヒアリングからわかったことで、すんなりと保証協会に保証が認められないケースをいくつかあげます。

・保証協会付きの一般融資を受けてから月日が経っていない
・返済の目途が立っていない
・保証協会がすでの多くの保証をしており、これ以上増やせない

などで、すぐには保証が認められていませんでした。

新型コロナウイルスの影響で売上が下がったと言っても、返す見込みのないところ、これ以上融資をするのにふさわしくないと判断された企業には甘くは無いようです。

一方で、余力がある、保証協会付き融資残が少ないなどの場合は、すぐにセーフティ保証付き融資を受けれているようです。

 

 

日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金

もし信用保証協会の活用が出来なくても、日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金であれば融資が受けれる可能性があります。

もちろん、始めから信用保証協会を利用しなくても、日本政策金融公庫の利用して構いません。

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

融資枠は国民生活事業(小零細企業向け)は4,800万円。中小企業事業は7億2千万円となってます。

 

新型コロナウイルス感染症特別貸付

新たに、新型コロナウイルスの影響による特別貸し付けが設定されました。

融資枠は無担保で、国民生活事業(小零細企業向け)は6,000万円。中小企業事業は3億となってます。

3,000万円を限度として、融資後3年目までは基準利率から△0.9%となります。

 

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)の別枠

商工会議所、商工会の経営指導員を通じて実施する融資になります。

融資枠は別枠で1,000万円。

当初3年間は利率が△0.9%となります。

 

日本政策金融公庫と信用保証協会は国との関係が強いですが、全くの別組織で審査も別々です。

感覚的には日本政策金融公庫の方が柔軟に融資対応をしてくれると思います。

また、経営環境変化対応資金以外にも、旅館業や飲食業を対象とした衛生環境激変特別貸付(別枠1千万円・旅館業3千万円)の利用もできます。

 

日本政策金融公庫・商工中金の特別利子補給制度

日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「新型コロナウイルス対策マル経融資」、商工中金等の「危機対応融資」により貸付を行った中小企業者等のうち、

売上高が急減した事業者などに対して、利子補給が実施されます。

適用対象は

①個人事業主(事業性のあるフリーランスを含み、小規模に限る):要件ナシ
②小規模事業者(法人事業者):売上高▲15%減少
③中小企業者:売上高▲20%減少

となっています。

※2020.4.10現在は詳細が固まっていません。中小企業庁のHPで公表されます。

 

返済不要の持続化給付金

新型コロナウイルスの影響の大きさを物語る支援策に、事業者に対して直接給付金を支給する制度が設けられます。

売上が前年同月比で50%以上減少している場合、法人に200万円以内、個人事業者に100万円以内を支給されます。

詳細は発表されていませんが、売上規模が小さいところであれば上限に達しないこともあるでしょうし、上限が法人で200万円なので、全くなりない事業者も多いと思います。

※令和2年度の補正予算成立後に詳細発表

 

雇用調整助成金の特例措置

また、厚生労働省の雇用調整助成金の特例措置として、雇用調整助成金の拡充が図られてます。

今後もさらに特別措置の拡大が予定されています。

【特例対象事業者①】

日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主

【特例措置の内容】
①休業等計画届の事後提出が令和2年6月30日まで可能。
②生産指標(売上高等5%減)の確認対象期間を3か月から1か月に短縮。
③雇用指標(最近3か月の平均値)を撤廃。
④事業所設置後、1年未満の事業主も対象。
⑤助成率を中小企業の場合4/5(解雇等を行わない場合は9/10)に引き上げ。
⑥雇用保険被保険者以外の労働者に対する休業手当も対象。
⑦雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者も助成対象。
⑧過去に本助成金を受給したことがある事業者でも、対象に拡大。

に当てはまる場合、一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成されます。

支給限度日数が4/1~6/30で100日となってます。

※こちらの内容は先行発表のため、厚生労働省のHPにて詳細確認。

 

生産性革命推進事業補助金の拡充

融資以外にも、ものづくり・商業・サービス補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金の拡充があります。

すでに、公募が始まっています。

今年からは通年での公募になりますので、タイミングの良い公募期間で応募ができるため、使い勝手がよくなりました。

 

補助率の拡充

①ものづくり補助金:補助率が1/2→2/3へアップ(上限1千万円)
②持続化補助金:補助上限が50万円→100万円へ引き上げ(補助率は2/3)
③IT導入補助金:補助率が1/2→2/3へアップ(上限450万円)

【要件】

補助対象経費の1/6以上が、以下の要件に合致する投資である事
A:サプライチェーンの棄損への対応
B:非対面型ビジネスモデルへの転換
C:テレーク環境の整備

 

その他の支援策

その他にも、

金融機関等への配慮要請

新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール

サプライチェーン対策のための国内投資促進事業

海外サプライチェーン多元化等支援事業

JAPANブランド育成支援等事業

下請取引配慮要請

個人事業主・フリーランスとの取引に関する配慮要請

官公需における配慮要請

下請Gメンによる実態把握

経営資源引継ぎ・事業再編支援事業

感染症対策を含む中小企業強靱化対策事業

小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援

個人向け緊急小口資金等の特例

休業や労働時間変更への対応

都道府県労働局及び労働基準監督署における配慮

外国人の在留資格取扱い

テレワークに関する情報提供

テレワーク導入にご活用いただける支援策

現地進出企業・現地情報及びジェトロ相談窓口

輸出入手続きの緩和等について

納税の猶予の特例

税務申告・納付期限の延長

国税の納付の猶予制度

地方税の猶予制度

欠損金の繰戻し還付

固定資産税等の軽減

厚生年金保険料等の猶予制度

国民健康保険、後期高齢者医療制度及び介護保険の保険料(税)等の取扱いについて

電気・ガス料金の支払猶予等について

などがあります。

 

このような話をどこで聞いたらいいのかについては、

  • 取引先の金融機関
  • 日本政策金融公庫
  • 商工会議所・商工会
  • 各都道府県、市町村に設置されている経営相談所(よろず支援拠点など)

でまず相談してみることが良いでしょう。

 

まとめ

コロナウイルスの影響も、始めはこれまでの災害と同じような枠組みでの支援策がなされましたが、影響が大きくなったため、これまでに無いような支援策が打ち出されています。

別枠保証や公庫からの融資が受けやすくなるなどの情報が、思った以上に知らない事業主さんが多く驚きました。

それなりの規模の事業者であれば金融機関の担当者から連絡があったり、商工会議所等の指導員から案内があったりするようですが、普段からこのような先とお付き合いのない事業所の場合は自身のネットワークからしか得ることはできないことなのだと改めて感じました。

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末信 公平

中小企業診断士/認定経営革新等支援機関/ファイナンシャルプランニング技能士2級中小企業庁委託事業ミラサポ専門家登録/神戸商工会議所外部専門家登録/公益財団法人ひょうご産業活性化センター経営専門家登録/公益財団法人兵庫県勤労福祉協会ひょうご仕事と生活センター外部相談員登録/兵庫県中小企業診断士協会・大阪中小企業診断士会会員/ NPO法人ファザーリング・ジャパン関西会員
経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。
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経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。

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