税理士への不満をよく聞きますが、報酬に見合わない期待や守備範囲外ではないですか?
第三者的な目線から税理士への不満を考える
お仕事を通じて色々な経営者の方とお話をすると、少なからず税理士の不満を口にする方がいます。
お客様と関わらせていただく中で、月次の試算表などが無い、もしくは2カ月遅れでできる、など確定申告や決算申告しか考えていないような場面にも出くわします。
一方で、同じ士業として若手からベテランの税理士の先生とお話をすると、一概に税理士側に問題があるわけではないと思うようにもなりました。
今回は第三者的な目線から、税理士への不満を考えてみました。
税理士への不満理由
税理士への不満理由をネットで検索すると、
- 定期訪問が無い(コミュニケーションがない)
- 訪問は税理士でなく事務所の職員
- 記帳が遅い・仕事が遅い
- 税務調査で税務署の味方をする
- 提案が無い
- 経営のアドバイスや助言が無い(サービスが不満)
- 料金が高い
- 偉そう
などなど・・・
税理士の先生も7万6,000人もいればいろんな人がいます。
同じサービスを提供していても、不満に思わない経営者もいれば不満に思う経営者もいる訳で、そのあたりは相性や考え方などでも変わってきます。
「定期訪問が無い(コミュニケーションがない)」/「訪問は税理士でなく事務所の職員」について
これは経営者側の期待と税理士の提供サービスがマッチしていないことによるものです。
特に、安い顧問料と申告料(月1~2万円の顧問料と10万円の申告料など)だと、はじめからそこまでフォローは無いものです。
税理士の先生も忙しいですし、道義的にどうかという部分もありますが、安い顧問先は後回しになるのでしょう。
また、職員の方も新人の方からベテランまで様々ですしスキルも異なります。
いい職員の方であれば、別に税理士の先生が訪問に来なくても大丈夫なのかもしれません。
「税理士が来てもくれない」などと話を聞いた時に、毎月の顧問料をお聞きしたら、だいたいが安い顧問料しか払っていないパターンでした。
専門家にはそれなりの費用を支払う必要がある、と言うことです。
ちなみに報酬の基準は、時給5千円~1万円くらいになります。
この金額の根拠は国や公的機関の専門家派遣にかかる対価として、その程度の報酬が支払われるからです。
公的機関でもそれくらいを支払うとなっているので、民間となると通常はそれ以上になってもおかしくはないと言えます。
ミスマッチを防ぐには、はじめの契約段階で確認を取り、「何を税理士に期待するのか」をしっかりと伝える必要があります。
もしはじめに約束をしていたのに、だんだんと訪問が無くなってきたなどの場合はしっかりと税理士に伝えましょう。
それでも改善しない時には顧問税理士を切り替えるタイミングです。
「記帳が遅い・仕事が遅い」について
私が経営相談や支援を行う時に一番困るのがこのパターンです。
「記帳は会計事務所にお任せしています」と言われるので、直近の月次試算表がすぐにでも入手できるのかと思いきや、だいたいのところがありません。
締めてから2か月後、酷い時には3か月後などがざらにあります。
月次の試算表はすぐにでも確認したい財務資料なのですが、2か月後にもらってもほとんど意味を成しません。
もちろん遅い理由には、会社側が資料を早くに渡していないという事もありますが、だいたいのところが1か月以内に入手できていない状況に驚きました。
そこで、このパターンの時にも「毎月の顧問料はいくらくらい支払われてますか?」と聞けば、これまたお安い顧問料しか払っていないパターンが多いです。
安くても記帳込みで契約した以上は素早く出すべきと思います。ですが、安い顧問料なら後回しになるよなぁとも思うようになりました。
会社の規模によって記帳料も変わってきますが、10万円も払ってて遅い場合は、顧問税理士の切り替えをお勧めします。
もしくは自社内で経理記帳を行うかです。
月次の試算表が遅いという事は、経営を数値で把握できていないと金融機関などからみなされ、逆に信用を落としています。
月次の試算表は鮮度が重要です。素早く現状を把握して改善を始めるためにも、締めてから5営業日には出してもらえるようにすべきと考えます。
(もちろん、必要資料などは随時おくるなど協力する部分も必要ですが)
「税務調査で税務署の味方をする」について
税務調査で税務署の味方をされれば、何のために顧問契約をしているのかわかりません。
そんな税理士は契約の見直しをしましょう。
ただ、税務調査に強いことを売りにしている税理士のベテランの先生などはそれなりの報酬をもらってました。
税務調査で頼りになるという事は、それだけ節税のメリットがあるので高い報酬でも問題ないという事なのでしょう。
このあたりも報酬とのバランスと言う事なのでしょうか。
「提案が無い」「経営のアドバイスや助言が無い(サービスが不満)」について
この点に関しては、こちらの記事にも書いていますが、そもそも税理士に対して経営のアドバイスをもらうことは相応しい訳ではないという事です。
不満に感じる経営者がどこまでのレベルの助言を求めているのかはわかりませんが、税務や会計に関する事、節税などは助言をもらえるでしょう。
ただ、基本的には決算申告を無事に終えたい考えの税理士からすれば、あまり余計なことを言って業務を増やしたくないのかもしれません。
また、良く知らないのに知ったふりをしてアドバイスをするよりは、黙っていたほうがようという事かもしれません。変にアドバイスを受けるよりもよっぽどマシとも言えます。
経営に関するアドバイスは、もちろんできる税理士もいると思いますが、その部分を期待するなら、しっかりと期待に応えられる税理士を探す必要があります。
ただし、低めの顧問契約料の中で期待に応えてくれる税理士を探すのは困難と思います。
「料金が高い」について
結局不満に思うのは、支払っている金額に対してサービスが足りていないと感じているからです。
これに関しては、どういったコトを期待しているのか?それに答えてくれるにはいくらの対価が必要なのか?をしっかりと伝えて金額の提示をしてもらうようにしましょう。
お互い不満に思って関係を続けるのも不幸なことです。
顧客側からすれば「こんなに払っているのに」かもしれませんし、税理士からすれば「これだけの金額ではやれることは限られるよ」とズレが生じています。
もちろん安くても色々と手厚くしてくれる税理士の先生もいますし、高くても何もしてくれない先生もいます。
税理士の乗り換えは大変かもしれませんが、高いと思っているなら変更することをおすすめします。
周りに聞いてみて、相場を知ることも大事です。
しかし、結局は期待している部分が人それぞれなので、実際に変更してみないと、高かったのか安かったのかがわからない部分でもあります。
「偉そう」について
ここに不満を抱いているなら変更しても構わないと思います。
ただし、愛想のよい人が必ずしも能力が高いという事でもないので、受けているメリットと比べて考える必要があります。
何を税理士に期待するのかをハッキリとさせる必要があります。
まとめ
「税理士」となると、経営に関する相談に何でも応えてくれるスーパーマンのような幻想を抱く人がいます。
だいたい事業を始めれば、「税理士」が初めての外部専門家となるパターンが多いので、何でも相談するのでしょう。
また、税理士の方も市場に税理士があふれ価格競争にもなっているため、低価格な料金を提示している場合があります。
その時に、顧問契約しているから何でもサポートして欲しい顧客側と、もらっている料金からすれば見合わないサービスはやらない税理士との間にギャップが生じることとなり、それが顧客の不満となります。
第三者からすれば、「必要以上に払ってるなぁ」と思ったり、「その顧問料でよくやってもらってるなぁ」と思ったりと様々です。
結論からすれば、「全てを期待せず、適正な価格で依頼をする」ことで、双方気分よく仕事ができることが一番と思います。
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末信 公平
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