経営計画書が必要な理由は逆算で考えるため
経営計画書・事業計画書を作成する必要性
経営計画書を作成するのはなぜでしょうか?
それは、
お金を借りるときに金融機関に言われたから?補助金申請に書く必要があるから?
当然ながら、計画書作成は言われたからしぶしぶ作成するものでは本来ありません。
本来の目的は、自社の経営をよくするために作成するものです。
計画書を作成するのは大きく分けて5つのパターン
経営計画書を作成するシーンはいくつか決まっています。
大きく分けて、5つに分けられると考えます。
起業・創業のため
起業や創業時には、恐らく計画書を作成すると思います。
キッチリした計画書でなくても、どれくらいのお金が始めに必要で、どれくらいの売上が立ちそうで、どれくらいの費用がかかるから、生活できるかな?といったことは考えると思います。
その時には、文章化していないだけで、頭のなかでは誰に販売しようかとか、商品やサービスの事を思い描いていると思います。
この時点では、お金を借りることが無くても、「自分が知りたいため」に計画書は作成します。
それは「将来に不安」があるため、可視化することで安心を得たり、足りない部分を補う努力をするためです。
計画書を作成する理由の一つとして、「わからないことをわかるようにして不安を無くす」効果があると言えます。
融資を受けるため
創業融資を受ける際や、新規事業や機械を購入する場合、資金繰りのためなどにお金を借りるとき、金融機関から計画書の提出を求められることもあります。
これは、金融機関からすれば「知りたい」ため。企業側からすれば「わかってもらう」ため、に計画書を作成します。
金融機関はお金を貸す以上、どのようにして返すつもりがあるのか知る必要があります。ヒアリングや決算書、試算表だけでなく、詳しく知りたいときに計画書の提出を求めます。
企業はお金を借りるために、自社を知ってもらうために作成します。知ってもらい「きちんと返済できますよ」という事を伝えることで信頼してもらい、融資を受けるために計画書を作成します。
計画書を作成する理由の一つとして、「お互いを信頼するため」と言えます。
補助金を受けるため
補助金を受ける場合にも計画書の作成が求められます。
補助金の出し手(国や自治体)からすれば、税金を使う訳ですので、きちんとした将来性がある企業に補助金を出す必要があります。
変な企業に補助金を出してしまったら有権者に何を言われるかわかりません。
こちらも融資の場合と同様、計画書を作成する理由は「知るため」と「わかってもらうため」です。
国や自治体からすれば、「補助金を出しても大丈夫な企業かどうか」を知るためです。
企業側からすれば「有効に補助金を使います」という事を伝えるためです。
こちらも、「お互いを信頼するため」と言えます。
経営改善でリスケジュールをお願いするため
経営が苦しくなり、借入金の返済ができない状況になれば返済を止めてもらう必要があります。
返済猶予、リスケです。
金融機関にすれば、返してもらうはずのお金が返ってこないので、「本当に返済を止めれば経営が良くなるのか」「返済を止めるのは一時的なものなのか」を確認するために計画書が必要になります。
企業側からすれば、「一次的に返済を止めてもらえれば、必ず経営を立て直してまた返済を行います」と約束するために計画書を作成します。
融資や補助金と同様に、「お互いを信頼するため」と言えます。
自社の3~5年後の目標を可視化するため
私が考える計画書を作成する一番の理由は、自社の3~5年後の目標を可視化するためです。
自分の頭のなかにあるから大丈夫と言う経営者もいますが、たった一人で事業を営んでいるとしても計画書を作成することをお勧めします。
ましてや従業員を雇っているのであれば、計画書は必須と言えます。
理由は、組織全体で目標を共有するためです。
頭の中にある計画書は、都合のいい部分だけ覚えていたり、全体を抑えれていなかったりします。
そもそも、そんなに記憶力のいい人はいません。
計画書を作成しているからこそ、仮説と実績の検証が行えるわけで、検証ができてはじめて経験を次に活かせるのです。
成功からも失敗からも何かを学ぶためには記録として残すのは当然ですが、実行する前に仮説を文章化することでよりいっそう経験から学ぶことができます。
計画書作成のメリット
計画書を作成するメリットの一つは、仮説と実績の検証を行い、経験からより多くのことを学ぶためです。
成功しても失敗しても何らかのことを得ると思いますが、計画書を作成しているほうがより多くのことを得ることができます。
もう一つのメリットは、全体を把握できることです。
経営者と言えど、頭のなかだけで会社の課題を整理しているのは困難です。
経営戦略が一番にあり、もう少し細かく見ていくために、「組織」「マーケティング(営業・販売)」「生産管理」「財務」と少なくとも4つの個別の戦略を考えます。
また、個別の4つの戦略におのおの戦術レベルでの施策(アクション)が必要になります。
経営者は得意な分野だけを考える訳にはいきません。少なくとも全体のことを考えながら、会社が一番良くなる方法を考える必要があります。
そのために、課題の整理をおこない、そこから解決策を考えて、数字に落とし込む計画書が必要な訳です。
計画書が無い会社は業績も悪くなりがち
景気が良かったり、たまたま自社の商品やサービスが当たっているときは計画書が無くてもどんどん売上も増えるでしょうし、利益も増えます。
しかし、計画書を作成しているほうがもっと売上や利益が多かったかもしれません。残念ながら検証はできませんが、少なくとも仮説と検証を行っている企業の方が優れていることが多いことを考えると、間違っているとは言えないと思います。
ただ、良い時はいいのですが、計画書がないと困る場合は業績が悪くなってきたときです。
なぜなら、仮説を文章化できていないので、どこで思惑が狂ってしまったのか、どこまで悪くなってしまうのかがわからないので、対策が後手後手に回ります。
一度悪化しだすと簡単には止まりません。一度坂を下りだすと、どんどん加速してしまい、時間がたつにつれて立て直すことが困難になります。(勤務時代に経験しているので、間違いないです)
例えるなら、坂の上からボールを転がした場合、はじめはボールが下るスピードもあまり出ていないので止めることも容易ですが、坂を下れば下るほど加速がついてしまい、ボールを止めるのが難しくなるのと同じです。
なので、予防のためにも計画書を作成する必要はあります。
まとめ
計画書は誰かに求められて初めて作成することもあると思います。
しかし本来は、誰かに言われてではなく、自らのために作成するものです。
計画書を作成することは、自社の全体を把握することにもつながりますし、将来にむけて仮説を立てることは不安を減らす効果もあります。
また、何かが起こってからでは遅いので、予防のためにも役立ちます。
面倒がらず、計画書を作成することをおすすめします。
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末信 公平
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