借入返済を待ってもらえる「リスケ(返済猶予)」期間はどれくらい?
目次
どれくらいの期間リスケ(返済猶予)してもらえるか
前回の「リスケ(返済猶予)をお願いしたら簡単にやってもらえる?」では、リスケに必要な書類のことをお話ししました。
書類を揃えて検討してもらった結果、承認が得られたとしたら、実際のところどれくらいリスケ(返済猶予)をしてくれるのか?
当然ながら何年も初めから応じてはくれません。
3年でしょうか?5年でしょうか?
原則は6か月
3~5年の計画書を見せたのに半年しかリスケをしてくれない…。
しかしながら、金融機関側の言い分は「はじめに約束した通り返せない会社は信用できない」というスタンスです。
なので「原則」6か月です。場合によっては1年程度は猶予をしてくれます。
とは言え、6カ月や1年を猶予してくれても、経営状態が上向いて通常どおりに返済できるものなのか?
「そもそも業績が悪くなっているからリスケをお願いしているのであって、上向く方策があればとっくにやっているよ」
なので、交渉を繰り返し行うことになります。
リスケ延長交渉を繰り返す
延長交渉をせず、そのまま猶予期間が過ぎると自動的に通常通りの返済に戻ることになります。
いや、もっと言えば銀行は全額を一気に返してくれと要求してくる可能性もあります。
期限の利益の喪失(返済の約束を守ってもらえなかったから、約束自体は無効となりすぐに返してもらいますよ)ということを理由に、返済を迫られても文句を言えません。契約書に記載されていると思います。
しかしながら、金融機関側も業績の落ち込んでいる会社がリスケをお願いしてきて、半年後に元に戻るのは難しいことぐら、当然わかっています。
なので、リスケ期間終了前(1~2か月前)にリスケ延長の交渉を行う必要があります。
リスケ延長交渉の基本は進捗状況の報告
リスケ延長交渉は何をするのか。
基本的には、リスケをお願いするときに提出した経営改善計画の進捗状況の報告です。
計画の達成度がおおむね80%以上で合格とされています。あくまで目安ですので、金融機関との関係性などにより変わってきます。
引き続き、リスケの延長を了承してもらい、少しづつ返済額を増やしながら業績を改善していく。と言うのが基本的な流れになります。
しかしながら、この80%すら達成されていないと金融機関はますます態度を硬化させます。信用を失っているところに、再度の約束すら守れていないとなると金融機関としても支援のしようがないといった感じでしょうか。
なので経営改善計画書は「絵に描いた餅」ではだめで、それなりの根拠をもって固めに作成することが必要なわけです。
金融機関の人も人それぞれですが、少なくとも応援しようと思ってもらえない限り、支援の継続は難しいということです。
余談になりますが、数字ありきの計画の作成ではこの時に苦労することになります。金融機関も結局のところは数字しか見てこないという話もあります。しかし、それでも定性的な部分と定量的な部分を合わせて計画書を作ることができなければ、初めの一回はリスケに応じてくれても後が大変になります。経営改善計画書の作成を自社だけでできない場合、顧問の税理士など外部の専門家に協力を依頼することになるかと思います。その際は「本当に実行可能な役に立つ計画書が作成が可能かどうか」「金融機関との交渉にもしっかりと対応してくれるのか」などを見極めてください。
実質的なリスケ期間は5~10年
半年から1年のリスケを繰り返しながら、徐々に経営を上向かせ返済額を増やしていきます。
最終的には金融機関の債権者区分を「正常先」と認めてもらえるところまで続きます。
リスケは長期戦で望む必要があり、都度計画の見直しを図りながら、事業の再建を図ります。
まとめ
リスケは半年ごとに進捗状況の報告をしながら、事業の再建を図っていく手法となります。
それには、初めの計画策定の段階からしっかりした作り込みを行いながら、金融機関の信頼を少しづつ取り戻しながら進めていくことが重要です。
計画の達成には様々な課題を克服しながら進めていくことになりますが、逆に言えばこのような困難なことがない限り、事業を見直しをして立て直すことはなかなかできないかもしれません。
しっかりと現状と向き合い、半年に一度の報告を計画の見直しの機会ととらえ、一つ一つ課題を克服しながら再建を果たすことが重要です。
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末信 公平

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