リスケ(返済猶予)は粘り強く交渉する
リスケは交渉である
リスケの相談には、資料が必要であるということを前回「リスケ(返済猶予)交渉に必要な資料」でお話いたしました。
では、その後はどのように進むのでしょうか?
リスケは応じてもらいやすいが金融機関にとっては迷惑な話
リスケ(返済猶予)は、金融機関側にとっては甚だ迷惑な話です。
返したお金が返ってこないばかりか、債権者区分が悪化することで余分に引当金を積む必要になり、金融機関の収益を圧迫させます。
気分としては、「我々は何一つ悪くないのに、とんでもない話だ。我々は被害者だ。」くらいに思っています。
金融機関にとっても、このまま倒産されるとお金の回収はできない上に(保証協会や担保を取っっていたとしても一部は回収不能)、ただでさえ減ってきている融資先を失うことになるので、利息収入が減ってしまいます。
融資先を失うとそれだけ新たな融資先を探してくる羽目になるので、倒産されてしまうのも好ましいことではありません。
このあたりのことを踏まえ、粘り強い姿勢で交渉を行います。
資料の出来具合はリスケ交渉で重要となる
資金繰り表、直近の合計残高試算表、経営改善計画書、金融機関別融資取引内訳書の出来具合は、リスケ交渉で重要な役割を果たします。
特に未来を語る経営改善計画書の出来具合は非常に重要となります。
金融機関は数字で判断します。あれこれと文章で説明をしても、実際に数値としてどうなっているのかが判断材料となります。
実際に実現できる計画で、リスケに応じれば経営が立ち直り、返済を元通りに行ってくれるのか?
この点を金融機関は見てきます。「社長の言っていることは信用できるから、リスケに応じてもよさそうだ」と思わせる必要があります。
しっかりとした経営改善計画書を作成することができれば、リスケ交渉は大きく前進します。
金融庁の意向
金融庁は銀行や信用金庫などの金融機関の管轄省庁です。金融庁の意向に金融機関はいつも神経をとがらせています。
平成21年に中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(中小企業金融円滑化法)が施工され、金融機関の態度もかなり変化しました。
この法律は平成25年3月末に期限を迎えましたが、金融庁は「金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきということは、今後も何ら変わりません。」としています。(参考:金融庁HP)
ですので、金融庁の方針は、中小企業事業者にとってはありがたい方針と言えます。
何度も交渉を重ねる
金融庁の意向は中小企業事業者の味方です。断られてもあきらめる必要はありません。
リスケを断られると事業の継続ができなくなるので、リスケ交渉をやり続けるしか道は開けません。
何度も交渉を重ね、金融機関に交渉の都度出される宿題をクリアしていくうちに道は開けます。
まとめ
リスケを行うことで、事業の継続に道が開けます。
金融庁もリスケになるべく応じてあげなさいと言っています。
しっかりとした資料を作成し、粘り強く交渉を重ねることが重要となります。
お問合せ・ご相談はこちら
こちらの記事もおすすめです
末信 公平
最新記事 by 末信 公平 (全て見る)
- 中小企業診断士1次試験7科目まとめて受験のメリット - 2022-03-29
- 経営データは鮮度が大事 2カ月遅れの試算表では活用しづらい - 2022-03-09
- 資格は使いよう 役に立つか立たないかはその人次第 - 2022-03-01