資金繰り表を作成して「数値の見える化」に取組もう
中小企業のお悩み上位の「資金繰り」
企業経営はとどのつまり、お金を回すことになります。
今回は資金繰り改善に取り組む際に第一歩となる「数値の見える化」をお伝えします。
資金繰り改善に取り組むにはまず数値の可視化かから始める
資金繰りが苦しい理由にはいくつかのパターンがあります。
主なものの一つとして「売上が下がった」「原価が上がった」「経費がかかった」などの利益が下がるパターン。
もう一つが「売掛金の回収が遅れている」「支払いが先行している」などの収支のバランスがとれていないパターン。
資金繰りの改善に取り組むには、まずいずれかのパターンであるのかをつかむ必要があります。
そして、その第一歩が資金繰り表を作成することです。
お金の流れを一覧表で見ることによって客観視できる
多くの中小企業では資金繰り表を作成していません。
だいたいが社長の頭の中で資金繰りをしていたり、作っていても翌月の予定までが多いです。
多くの中小企業が資金繰り表を作成していない理由は、「目先の仕事が忙しく、面倒だから」「これまで問題なくできているから」のようです。
しかし私のこれまでの経験上、月別の資金繰り表を作成してあげて、将来予測をしながら話をすると皆さん喜んでくれます。
「数値をもとにして、厳しいことでも指摘をしてもらって良かった」
「今後、いつ、どれくらいのお金が必要かわかったので心づもりができる」
「何をすればよいのかがよりハッキリわかったので、自信をもって取り組める」
などなど・・・
数値と言った客観的なモノを見ながら経営の話をしたほうが、より納得感が高まるのだと思います。
また、なんとなく感覚でわかっていたものをあえて数値で見えるようにすると、感覚のズレを認識してもらうこともあります。
簡単なシミュレーションでも、半年後にどうなるのかを数値化することは、それだけ準備もできますので経営の質も自然と高まります。
資金繰り表の作り方のポイントはこちらを参考にしてください
資金繰り表から見えてきた課題に対して対処して資金繰りを改善させる
資金繰り表を作成すると、利益が下がったから資金繰りが苦しいのか、入出金のタイミングが悪いから資金繰りが苦しいのかがわかります。
利益が下がったから資金繰りが苦しいパターンはわざわざ資金繰り表にしなくても体感でわかると思いますが、実際数値に落としてみてみると、売上なのか原価なのか、はたまた経費なのか、資金繰りに与えている影響も客観的にわかります。
資金繰り表を作成して最もよくわかるのが、入出金のタイミングが悪いことによる資金繰りの悪化です。
売上が順調に伸びているのに資金繰りが苦しい場合は、まさにこのパターンに当てはまります。
売掛金の回収より支払いが先行するので、売上の額が増えれば増えるほど資金が多く必要になるからです。
また、売上ばかりに目がいっている場合も薄利多売となりがちで、こちらも資金繰りに影響を及ぼします。
例えば100万円の粗利を稼ぐのに、粗利率が40%の場合は250万円の売上が必要です。しかし、粗利率が10%に落ち込んだ場合には売上が1,000万円も必要になります。
どちらも同じ100万円の粗利ですが、そこにかかる必要資金は当然ながら違ってきます。
入金が先であれば問題ないですが、少し予定が狂っただけでも資金繰りに影響しますので注意が必要です。
このように、資金繰りの悪化した原因はいくつかのパターンがありますので、適切な対処をしなければますます悪化しかねないという事です。
融資の打診も早めに行おう
経営は先手を打っておくことが望ましいです。
資金繰り表を作成して資金が足りないようであれば、早めに融資の打診を行いましょう。
「これまで何年も同じように融資をしていてくれたから、今回も大丈夫」と言った保証はどこにもありません。
早め早めに動ければそれだけ対応の幅も広がります。
そのためにも資金繰り表を作成して、客観的に数値を把握しましょう。
まとめ
実際経営が悪化している企業ほど、資金繰りなどの計数管理ができていません。
目の前の仕事が忙しい、お金の計算が苦手など色々な理由があるのも承知していますが、ほんの少しの手間をかけるだけでも経営は安定します。
また、金融機関に対しても説明もスムーズに進みます。
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末信 公平
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