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シルバニアファミリーのお店で学んだマーケティング

2021/08/19
 
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経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。

少しのきっかけを与えてお客様に買ってもらう

2018年のお盆休みに家族で大阪南港ATCへ遊びに行きました。

「からだのひみつ大冒険DX」に子供を連れていくためです。

いたるところにうんちがあり、子供たちは大はしゃぎでした。

いつの時代も子供は、うんちやおならやらげっぷが大好きなようです。

 

しかし今回のお話は、からだのひみつ大冒険DXではありません。

たまたま立ち寄った、大阪南港ATCにある「シルバニアファミリーあそびのお部屋」での出来事です。

そのお店では15分の間に次々と人形が売れていくのを目の当たりにしたことによる気づきでした。

 

お得感をだすための付加価値

こちらの「シルバニアファミリーあそびのお部屋」は体験コーナーも併設されているのですが、今回は販売コーナーでのお話です。

 

シルバニアファミリーの西の情報発信や体験の場の位置づけと思われるこのお店は、販売コーナーに所狭しとシルバニアファミリーの商品やジオラマが展示されていました。

うちの娘もシルバニアファミリーで遊びますので、はしゃぎながら店内を見て回っていました。

 

そんな時、「カランカラン!」と鐘の音が鳴りました。

一体なんだろうと鐘の音が鳴るレジのほうへ行ってみると、1回500円でガラガラによる抽選が行われてます。

一体何が当たるのだろうと、壁に貼ってある商品を見ると1等が1万円相当のシルバニアファミリーのおもちゃです。

そして最下位の5等(だった気がします)でも、シルバニアファミリー赤ちゃんハウスが20種類くらいの中から選べます。


「たしか昔、娘に買った時は500円はしたはずだからこれはお得やなぁ」

などと思ってみていたら、次々とレジの前に行列ができます。

すでに「からだのひみつ大冒険DX」でうんちのおもちゃを買わされているので、「これ以上今日は買わないと」思っていましたが、なんだかそそられます。

娘を呼び「ガラガラやりたい?」と聞くと、当然「やりたい!」と答えたので列に並ばせました。

すぐ前の人が3等を引き、俄然やる気がでます。

娘よりワクワクしながら、ガラガラと回す姿を見守っていると・・・残念ながら5等の赤ちゃんハウスでした。

まぁ、予定通りだったので損した気分にもならず、子供はニコニコしています。

 

お店に入店して15分。

ガラガラをしているお客さんは自分も含めて、少なくても5組。

何もしなければ購買に至らなかったであろうお店で、次々と購買までもっていく仕掛けに感心しました。

 

このお店が加えた付加価値は「ドキドキ感」。射幸心という事になります。

これが1回700円だったら、こんなに次々と人は並ばなかったと思います。

通常買う価格で、ドキドキ感を味わえ、上手くいけばより高価なおもちゃを手に入れることができます。

要するに、500円の商品に付加価値を乗せ、値ごろ感を出した点が素晴らしい工夫です。

 

期待値と利益額で考えているはず

くじ引きにすることによりお得感を演出し、売り上げを上げることは可能となりますが、利益はどうなるでしょうか?

とてもざっくりとした計算ですが、例えば

100人がガラガラをしたとして、売上は100人×500円=50,000円

50回に1回の割合で3,000円相当の商品、

75回に1回の割合で5,000円相当の商品、

100回に1回の割合で10,000相当の商品

残りが500円相当の商品

が当たるとします。

ざっくりと仕入値(原価)を40%と仮定すると、

100回×(1/50回)×3,000円×原価40%=2,400円

100回×(1/75回)×5,000円×原価40%=2,667円

100回×(1/100回)×10,000円×原価40%=4,000円

100回-(100×(1/50回+1/75回+1/100回))×500円×原価40%=19,133円

原価 2,400+2,667+4,000+19,133=28,200円

となり、

利益 50,000-28,200=21,800円(43.6%)

100人ガラガラをすれば21,800円の利益が出ることとなります。

もしガラガラをしなければ、同じだけ利益を出すためにはシルバニアファミリー赤ちゃんハウスを、

21,800÷(500×60%)=72.6個

販売する必要があります。

何もしなければ72.6個売る必要があるので、仕掛けをしてたくさんのお客さんにガラガラをしてもらった方が早くに21,800円を達成できる可能性があります。

(もちろん今回はかなり当てずっぽうな計算なので、本当はどうかはわかりません)

 

実質的には値引き効果となりますが、単に10%引きとするよりは「ワクワク感」が付いているので多くのお客さんに買ってもらえそうです。

ちなみに10%値引きした場合は、

1-(500円×原価率60%÷(500円×90%))=利益率33.3%

なので、手間はかかりますがガラガラの利益率が高くなります。

 

目的に沿った戦術で

このお店の役割は、西日本でココにしかないシルバニアファミリーの体験をしてもらうことや、大阪南港ATCで定期的に行われる子供向けのイベント時に立ち寄ってもらい「シルバニアファミリーの世界観を知ってもらう」ための存在です。

体験やたくさんのディスプレイでシルバニアファミリーの存在を知ってもらったり好きになってもらいます。

そして、少しでも買ってもらい家庭にシルバニアの商品を置いてもらえれば、お誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントの候補にシルバニアファミリーが上がりやすくなります。

シルバニアファミリーはお人形が1体だけではつまらなく、沢山のお人形や小物を集めることで子供が「ごっこ遊び」に夢中になれるのである程度集めたくなります。

そのため、はじめの一つを買ってもらうことが最も重要となるのです。

そのための仕掛けが「ガラガラ抽選」という事になります。

(ちなみにレゴはトイザらス店内で無料の小さなセット商品を配ってました。)

 

シルバニアには「はじめてのシルバニアファミリー」というお得なセットがあります。


うちの娘もトイザらスに連れて行ったときにシルバニアファミリーに興味を持ったので、一番初めに買い与えました。

シルバニアファミリーをまだ持っていない家庭には、赤ちゃんハウスを手に取ってもらい、次に「はじめてのシルバニアファミリー」を買ってもらうことが狙いと考えられます。

すでにシルバニアファミリーのセットを持っている家庭には、さらに他の人形や小物を買ってもらうことが狙いです。

 

このように売れる商品から売りたい商品への流れを作っていくことで、全体の売上を上げる施策となります。

 

まとめ

中小企業でも、単に目先の売上だけにとどまらず「目的」を定めて施策を行うマーケティング的発想が求められます。

マーケティングは単純に言えば、「誰に」「何を」「どのように」働きかけ買ってもらうかと言う事になります。

今回の事例では、

「誰に」=親

「何を」=赤ちゃんハウス

「どのように」=ガラガラ抽選

で買ってもらって、シルバニアファミリーを好きになってもらってお誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントで本命のシルバニアファミリーを買ってもらうことが狙いとなります。

セールと言う手法ではなく、お得感・値ごろ感を感じさせててくれたので買った親としても満足度が高かったです。

このように、いかに満足度を高めるかと言う視点も重要となります。

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末信 公平

中小企業診断士/認定経営革新等支援機関/ファイナンシャルプランニング技能士2級中小企業庁委託事業ミラサポ専門家登録/神戸商工会議所外部専門家登録/公益財団法人ひょうご産業活性化センター経営専門家登録/公益財団法人兵庫県勤労福祉協会ひょうご仕事と生活センター外部相談員登録/兵庫県中小企業診断士協会・大阪中小企業診断士会会員/ NPO法人ファザーリング・ジャパン関西会員
経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。
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経理の専門学校卒業後に食品製造会社に入社。主要取引先の倒産、メインバンクの破綻等を経験。工場運営改善など行い、過去最高益への貢献を果たす。その後、洋菓子製造小売業を経てアパレル関連会社へ転職。自身の経験を活かし、資金繰り改善を中心とした支援を行うため、中小企業診断士として独立。

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