経営者(社長・事業主)の報酬は社員の給料と同じではない

目次
中小企業・個人事業主の経営者の報酬は込み
経営者となったからには多額の報酬を受け取りたいと願うものです。
特に、脱サラして事業を始めた人は会社員時代にもらっていた給与をどれだけ超えるかに関心も向くでしょう。
法人化すれば役員報酬として、毎月個人の銀行口座にお金が支払われます。
個人事業主の場合は、売上から経費を引いた利益の部分が事業所得として自由に使えるお金になります。
もちろん、個人事業主の場合、決まった金額を別の個人口座に毎月移す人もいます。
しかし、その報酬として受け取ったお金は、サラリーマン時代の給与とは全く意味が異なります。
中小企業・個人事業主の経営者は会社(事業)からお金が入らなくても生活できる資金を残すべし
中小企業や個人事業主の経営者は、個人の預金口座に少なくとも半年は報酬をもらわなくても生活できるお金を貯める必要があります。
さらには、事業に貸付できるだけのお金も貯めておけば尚良しです。
なぜならば、事業の状況が悪くなった時に、役員報酬をカットすることで経費を削減させ、資金繰りの安定を図ることができるからです。
同様に、個人事業主の場合は、事業主貸を発生させないようにして資金の流出を防ぎます。
また、金融機関がお金を貸してくれなくても役員借入金の形で資金を会社へ注入することで、資金繰りの安定を図ります。
個人事業主の場合は、事業主借りとして事業へ資金を注入させます。
このように、経営者は会社からの報酬を一部残しておくことを加味します。
額面通り報酬を受け取って全てを生活費や遊興費に使うのではなく、一部は会社から預かっているという意識を持つ必要があります。
いくらくらいの報酬が良いかは、税金と社会保険の兼ね合いで
法人の役員報酬は経費扱いにもなるので節税対策にもなります。
社会保険の支払いと合せて考えますので、どれくらいの報酬が良いかは税理士さんと相談してください。
個人事業主の方は、利益がそのまま個人の事業所得となりますので、顧問料と決算料を支払っても法人化の方がメリットが出るあたりで、法人化を検討してください。
ざっくりと400万円ほど利益が出るようになればそろそろ法人化しても良いころ合いと思います。
このあたりは税理士さんの考え方にもよります。法人化したほうが支出が少ないから法人化をすぐに勧める税理士の先生もいますし、手間や顧問料決算料を加味すれば、個人事業主でしばらくしていた方が良いという先生もいます。(私は後者の先生の意見を参考にしています)
資金繰りが苦しくなれば役員報酬をまずカット
資金繰りが苦しくなれば、まずは役員報酬をカットすることになります。
その役員報酬をカットするにも、個人の手元にお金が無ければできません。
そのために、個人のお金としていざと言う時のために貯金をする必要があります。
通常の貯金口座とは別の口座にしているほうが良いでしょう。
貯金の目安は最低6か月生活できる金額。できれば1年。
生活水準が高いと下げることも大変苦い思いをしますので、貯えが必要です。
もちろん役員報酬をカットするくらいなので生活水準を下げなければいけませんが、恐らくはすぐにはできないでしょう。
プライドであったり、周囲の視線を気にしたり。
社長本人は問題なくても、奥様やお子様の事を考えるとスパッとできるものではありません。
業績が回復しなければそうも言ってられないのですが、貯えがあると時間を稼ぐことができます。
また、事業資金が足りない場合は役員借入金として会社は社長からお金を借りることができますので、ここでも貯えは必要です。
何があるかわからないから経営者として貯えを持っておく
経営には100%大丈夫と言う事はありません。
事故に巻き込まれるかもしれませんし、天災に見舞われるかもしれません。
また、想定外の競合が表れて事業が急速に悪化することもあります。
事故や天災であれば銀行もお金を貸してくれるでしょうが、急速な事業の悪化のばあいはすんなりと貸してもらえるかわかりません。
事業の立て直しには時間がかかります。
その時のために、中小企業の経営者は個人資産を貯えておく必要があります。
一番の責任者なので一番高い報酬をもらうことは何の問題もないのです。
しかし、その報酬の一部は預かっているお金が含まれているという事を認識しておく必要があります。
いつ、何があるかわからに「いざ」と言う時のため、「まさか」と思う想定外の時のため、日頃から準備をしておくことが重要です。
まとめ
自分が社員時代には、「社長はなぜこんなに報酬をとるのだろう?」と思っていました。
もちろん最高責任者だからなのですが、いざと言う時には私財を投げうって事業を継続させる必要があるからだと、自身も開業してわかりました。
そこそこの規模の会社になれば私財を投入したり、役員報酬をカットしたからと言っても大きなインパクトになりませんが、中小企業・個人事業主レベルであれば黒字化することも可能です。
経営者と法人は一体とみられる中小企業だからこそ、いざと言う時の備えは必要です。
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末信 公平

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