資金繰りを良くするためには4つの方法しかない

目次
経営改善・資金繰り改善を行うには4つの切り口から考える
「経営を上向かせたい」、「資金繰りを良くしたい」場合、一見複雑そうに見えますが、できることは4つの切り口に分けられます。
難しく感じること、複雑そうに見えるものは、理解できるまで分解するのがコツです。
大きな肉の塊をそのまま食べるのは大変ですが、ナイフで切り分ければ食べやすくなるのと同じことです。
経営改善・資金繰り改善も同じことで、一見すればどこから手をつければいいかわからなくても、分解すれば改善案も浮かびやすくなります。
「売上を伸ばすか」、「費用を減らすか」、「お金を借りるか」、「借金を返さないか」
資金繰りを良くするためには結局のところ「売上を伸ばすか」、「費用を減らすか」、「お金を借りるか」、「借金を返さないか」の4つです。
経営改善、資金繰り改善をするには利益を増やす方法と、当座をしのぐためにお金を増やす方法があります。
利益を増やす方法は、「売上を伸ばす」か「費用を減らす」しかありません。
お金を増やすには、「お金を借りるか」か「借金を返さないか」のどちらかです。
資本金を増やす方法もありますが、中小企業ではあまり一般的ではないのでここでは省きます。
①売上を伸ばす
売上を伸ばす方法はさらに5つに分けられます。
売上は式に表すと、
売上=客数×客単価
になります。
たくさんのお客さんに買ってもらうか、一人当たり買ってもらう金額を増やすかです。
また、客数は
客数=(既存客+新規客-流出客)
に分けられます。
お客さんを増やすには、新規客を増やすか、流出(離反)するお客さんを減らすことになります。
また、既存客に対しては、購入頻度を高めリピート率を上げることで増やせます。
客単価は
客単価=商品単価×購入点数
に分けられます。
客単価を上げるには、高い商品を買ってもらうか、一度にたくさん買ってもらうかになります。
売上を伸ばす方法は
- 既存客にリピート購入してもらう
- 新規客を増やす
- 流出客を減らす
- 商品単価を上げる
- 購入点数を増やす
の5つに分けられます。
ここまで分解して、どの方法で伸ばすのかを検討します。
会社ごとに合う最適な施策をマーケティング戦略から導き出します。
同じ売り上げを上げろ!との命令でも(売上を上げるのは指示でも何でもないですが)、どのように上げるのかだけでも5つもあります。
これを営業員各自で考えて任せてしまうと、会社としての一貫性がありません。
多くはもっとも単純に、安売りをして客数を増やすことをしてしまうでしょう。
客数を増やすにしても、新規客を増やすのか既存客にリピートしてもらうのかで、経営戦略は大きく異なります。
どちらがいいか、どれがいいかは業界や会社によって異なるでしょう。
②費用を減らす
費用を減らす方法は、現在購入している単価を下げる方法と、使用量を減らす方法があります。
また、同じ費用を払うなら、より大きな成果を出す方法もあります。
現在購入している単価を下げる方法は、同じ効果が得られるならより安い商品やサービスを購入できることろから買うことです。
例えば、「電話で話をする」という効果が同じであれば、より安く利用できる電話会社に切り替えると言ったことです。
また、同じ規格品を買うのであれば、より安く販売していることろから購入することです。
使用量を減らすのは、無駄を省いて節約をする、必要のないものはやめるといったことです。
また、生産性を高めるという事も、費用を減らす効果と言えます。
例えば、人件費をふやさずに効率を高めて、たくさんの仕事をこなす、たくさんの商品を作ると言ったことです。
①売上を伸ばす、②費用を減らすの二つが、利益を高めて経営を改善することに当たります。
利益が増えるので、資金繰りの改善にもつながります。
③お金を借りる
資金繰りが厳しければ、単純にお金を増やす「借りる」ことでいったんは解決できます。
ただ、資金繰りに厳しい状態と言う事は、金融機関から新たな融資が受けられない状態、これ以上経営者から借りることができない状態に陥っている可能性が高いので、現実的は難しいかもしれません。
しかしながら、A銀行では無理だったが、B銀行では借りれたということも良くあります。
要員は色々ありますが、銀行の都合(ノルマなど)で貸したい状況であったり、今後の事業性を評価してくれたり、地域の企業を支える使命感であったりと様々です。
ただ、事業性評価や使命感などで貸してくれる場合は、それ相応の関係性が無いと難しいものです。
このあたりは、日ごろからのお付き合いがモノをいう場面になります。
例えば、日本政策金融公庫に申し込んだけど難しいと断られたが、マル経融資経由だと借りることができた。
お金の出し手は日本政策金融公庫で同じですが、アプローチが異なるだけで可能性は高まります。
④借入を返さない
返すお金が無ければ返せないので、返さないことが最も資金繰りを楽にさせます。いわゆるリスケ(返済猶予)と呼ばれるものです。
無理してお金を返してしまうと、必要な支出まで削ってしまい、むしろ経営の悪化を加速させる要因となります。
早めの段階で手を打つ事も必要です。
借りたお金を返すのは当然ですが、無理に返済して事業の継続が困難になるよりは、いったん返済するお金をストップさせて、事業の立て直しを図ったのちに返済する方が銀行にとっても好ましい結果と言えます。
単に「返済しません」という訳にはいきませんが、必要な書類・資料(直近の試算表・資金繰り表・経営改善計画書・金融機関別融資取引内訳表)を揃えて金融機関に相談することになります。
初めてのリスケであれば、そこまで難易度は高くありません。しかし、リスケ中(半年ごと)に経営を上向かせる必要がありますので、容易なことではありませんが、ダラダラと返済をして悪化させるよりマシです。
当たり前のことだが、整理して考えることが大事
以上、①~④のことは当たり前すぎるくらい、当たり前のことです。
しかし、漠然と経営不振をなんとかしたい、資金繰りを改善させたい、と頭の中で思っていてもなかなかまとまりません。
一度、書き出してみて整理すれば、何かしらのアイデアが浮かびやすくなります。
まとめ
経営改善、資金繰り改善は「売上を伸ばすか」、「費用を減らすか」、「お金を借りるか」、「借金を返さないか」の4つの切り口で考えます。
一見複雑な事でも、一つ一つ分解して考えることがコツです。
返済を止めて、同時に費用の削減を行い、猶予ができた間に売上を伸ばす施策を実施させるのがセオリーとなります。
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末信 公平

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