資金繰り改善の最終手段”リスケ(条件変更・返済猶予)とは”

いよいよ資金繰りが苦しくなって、お金が返せなくなった。
いつもと同じように打ち返しの借入ができなくなった。
アテにしていた借入ができなくなるなどして、月末の支払いもできなくなる状況に追い込まれます。
もう打つ手が無くなった場合、銀行や信用金庫への返済をストップする方法で資金繰りの状況を改善させる方法があります。
目次
リスケ(条件変更・返済猶予)とは、「借入金を返済したくてもできないから、返済を延ばしてもらうこと」
リスケ、正式にはリ・スケジュール(reschedule)と言います。日本語で言えば返済猶予です。
一言でいえば
「借入金を返済したくてもできないから、返済を延ばしてもらうこと」
となります。
返済を延ばしてもらう相手は「銀行・信用金庫などの金融機関」です。
なので、リスケとは
「銀行から借りたお金を約束通りに返せないから、毎月返すお金を減らして、返済期間を延ばしてもらう」
と言うことです。
銀行や信用金庫などの金融機関からお金を借りるとき、「いつ、いくら借りて、いつまでに返済するか、毎月いくら返して、利息はいくら払うか」と決めます。
リスケとは、その金融機関との約束を見直してもらうこと、すなわち条件を変更してもらうこととなります。
その条件変更は主に、返済期間を延ばしてもらうこと、返済猶予をしてもらうこととなります。
なぜ、リスケ(条件変更・返済猶予)をする必要がある?
リスケを行う理由はただ一つ。毎月の資金繰りが苦しいから返済を猶予してもらい、事業を継続させることです。
例えば、A銀行からお金を借りていて毎月10万円を返済しているとします。
毎月の儲けが50万円あれば問題はないですが、売上が減少したり仕入価格が上がったりして儲けが5万円になったとします。
その場合、毎月10万円の返済を続けていけば、5万円(儲け)ー10万円(返済)=△5万円なので、いつの日かお金が底をついて倒産してしまいます。
そこでリスケを行い、毎月の返済を1万円に抑えれば、5万円(儲け)ー1万円(返済)=4万円となり、事業を継続することができます。
そして、リスケを行ってもらっている期間の間に売上が上がる対策や利益が出る対策をとり、また正常に返済を行える状態に戻すことで、事業が継続できます。
儲け | 返済額 | 差引 | |
通常時 | 50万円 | 10万円 | 40万円 |
困難時 | 5万円 | 10万円 | △5万円 |
リスケ後 | 5万円 | 1万円 | 4万円 |
リスケ(条件変更・返済猶予)はどれくらいの期間応じてもらえる?
普通にリスケの依頼を進めていき合意を得る期間は、基本的には6か月~1年間となります。
計画書通りに進まなければ、再度6か月~1年が到来するまでに再度のリスケ延長交渉を行います。
しかしながら、計画通りに進まない会社に対していつまでも甘い顔をしてくれる金融機関もありません。
「全額を一気に返してください」と言われかねません。
最悪の場合、預金封鎖や担保の差し押さえなどになります。
とは言え、金融機関も半年やそこらで業績が劇的に変わるとも思っていません。
通常は3~5年分の計画を作成して、その達成具合を見て半年ごとに延長交渉を行います。
達成具合はおおむね80%で合格と言われていますので、バラ色のあり得ない計画ではなく固めの計画を作成します。
まとめ
リスケを行うことは資金繰りを楽にすることで、「時間を買う」ことになります。
その間に、経営の立て直しを図り、事業の継続を行える体質に変えることが重要となります。
なかには、リスケを行うことがゴールと勘違いをしてそのままズルズルと業績を悪化させてしまう方もいます。
あくまでも金融機関に時間の猶予をもらったに過ぎないので、計画を実行していくことが大事となります。
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末信 公平

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